大麻使用罪の創設に反対します

2021.01.18 | 国内動向 | by greenzonejapan
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大麻使用罪の創設に反対します
2021.01.18 | 国内動向 | by greenzonejapan

2021 年 1月 13日、厚労省が大麻取締法に新たに使用罪を加えることが検討されているという報道がありました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210113/amp/k10012811321000.html?

ご存じない方もいるかもしれませんが、実は大麻取締法が規制しているのは、所持、売買、密輸、栽培などだけで、使用に関しては罰則が設けられていないのです。そのため、仮に大麻使用の証拠(検尿での陽性など)があっても、現物が無い限りは罰せられない仕組みになっています。

これに対して、取締の捜査員から使用罪の創設を求める声があり、今回、厚生労働省医薬・生活衛生局と監視指導麻薬対策課が中心となって有識者会議が立ち上がり、今後の薬物政策に関する提言を行うことになったようです。

日経新聞では、警察幹部のコメントとして「使用罪が導入されれば効率的な取り締まりに繋げられる」と語られています。販売者や栽培者を厳しく取り締まる事は、反社会勢力の資金源を断つという大義名分が成り立ちますが、今回話題となっている使用罪の創設は、末端の単純使用者(エンドユーザー)に罰を与えることを目的としたものと考えられます。

そもそも大麻取締法は公衆衛生上、悪影響の方が大きいことが明らかであり、私は医師の立場から明確に反対します。以下に理由を述べます。

(1) 大麻がお酒より安全なのは科学的な事実

日本では厚生労働省や警察などの薬物取締を行う機関が、大麻と覚せい剤、危険ドラッグ(脱法ハーブ)などの違法薬物を全て一緒にし、「ダメ絶対!」と言い続けてきました。そのため大麻も大変危険なドラッグであると印象付けられていますが、科学的な検証の結果、安全性が高いことが明らかになっています。

依存症や薬物問題を専門とする精神科医で、英国ブリストル大学の精神薬理学教授であったナット博士は、英国の違法薬物の法規制に納得していませんでした。というのは、彼が患者さんと接して感じる薬物の危険度と、法規制がちぐはぐに感じられていたからです。「違法なものは危険で、合法なものは安全」という先入観を除き、薬物の安全性についての評価が必要と感じた彼は、2010年、薬物依存症の専門家を集め、薬物の危険性を複数の側面から点数化し比較した危険性ランキングを発表しました。その結果が以下です。

多角的な視点から様々な薬物の危険性を総合評価したところ、社会に最も悪影響を与えている薬物はお酒でした。ちなみに大麻は8位で、お酒と大麻の比較では 72 vs 20 でお酒の方が3倍以上危険性が高いと結論されています。これは大麻が非合法な状況下での評価であり、合法化した場合にどのような影響が出るのかは議論の余地がありますが、お酒と比べて大麻の方が安全という結果は今後覆ることはないでしょう。

(2) 大麻はゲートウェイドラッグではない

「大麻自体の有害性は大したことはなくても、大麻はより有害な薬物(ハードドラッグ)の使用のきっかけになる」という考えはゲートウェイ仮説と呼ばれていますが、長年の研究にも関わらず、この仮説を支持する決定的な科学的証拠は見つかっていません。大麻の合法化がが相次ぐ現在、アメリカの国立薬物乱用研究所(NIDA)のホームページには、「大麻使用者の大半はその他のハードドラッグの使用に進むことはない」と明記されています。
https://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/marijuana/marijuana-gateway-drug

日本国内の状況を注視するだけでも、大麻が覚せい剤の入り口になるという仮説がおかしい事がわかります。日本での大麻関連での逮捕者数は年々増加し、過去5年間で2倍に増えています。

もしも大麻が覚せい剤の入り口になるなら覚せい剤での逮捕者も増加するはずです。しかし現実には、覚せい剤での逮捕者数は低下の一途を辿っています。これは明らかな矛盾です。

(3) 取り締まりによる被害は甚大である

このように、大麻使用が個人の健康や社会に与える悪影響はお酒と比較して小さいのに対して、逮捕・投獄されることは、極めて大きなダメージを与えます。

昨年も大学生の単純大麻所持の事件が相次ぎましたが、彼らは逮捕されるまで問題を起こすことなく学生生活を送っていたわけです。今日、年間 5000人近い若者が、大麻を所持していたというだけの理由で、厳しい処分を科されています。仮に使用罪が創設されれば、この数はさらに増えるでしょう。

ほとんどの大麻使用者は真面目に社会生活を送り、納税し、エッセンシャルワーカーとして社会を支えています。彼らを処罰することは誰のことも幸せにしません。

(4) 大麻を必要としている人がいる

違法なものを使用すれば罰せられて当然という考え方もあるでしょう。けれど普通に生きていく上で大麻が必要という人が、実は沢山いるのです。そもそも、人間の体内にはエンドカンナビノイドと呼ばれる大麻成分に似た神経伝達物質が存在し、これが人の心と身体のバランスを整える仕事をしています。ストレスや加齢、また生まれつきの体質などさまざまな理由で、このエンドカンナビノイドが足りない事によって、頭痛、胃腸の異常、イライラ、体調不良をきたしている人が日本にも何百万人もいると考えられています。(詳しくは以下の動画を確認ください。)

現時点の厳しい法規制の下で、それでも大麻を使用している人の中には、大麻の成分が足りていない人が多く含まれます。彼らにとっての大麻は、視力が悪い人にとってのコンタクトレンズのようなものです。

逮捕によって大麻という選択肢を奪われた人達の多くが、お酒などのその他の薬物依存になっている現実を私は目の当たりにしています。アルコール依存症の平均寿命は 52歳と言われ、これは大麻よりも明らかに健康への大きなダメージとなっています。


以上のような事実が広く知られることにより、国際世論は大麻の解禁方向に動いており、2020年時点でおよそ50か国で非犯罪化されています。昨年末の大統領選挙の結果、アメリカ合衆国でも大麻の非犯罪化を掲げるバイデン氏が大統領に就任することが決まり、早ければ 2021年中にアメリカでも大麻で逮捕されることはなくなりそうです。

このような国際情勢下で逆に取り締まりを強化したいのは、覚せい剤の検挙者数が減っている事により、自分たちの組織の存続が危ぶまれる厚生労働省麻薬取締部と警察の自己保身以外に考えられないというのが、私の率直な感想です。

せっかく大麻取締法を見直すのならば、世界の潮流に逆らって取り締まりを強化する方向性を目指すのではなく、ハームリダクション的な観点から、抜本的な見直しをすべきではないのでしょうか。

なお、報道では「大麻草を原料にした医薬品の取り扱い」も検討されると伝えられています。これはおそらく、サティベックスやエピディオレックスといった、FDA に医薬品として承認された製品のことを指していると思われますが、これを機に、処方薬としてのみならず、大麻草全草が持つ薬草としての医療効果について、正しい知見を持つ有識者による検討がなされることを切に願います。

大麻使用罪設立のための有識者会議は、1月20日に初回の会合が開かれます。数回の話し合いの末、2021年の報告書を提出する見込みになっています。この報告書自体は法的拘束力を持ちませんが、提出後に国会で大麻取締法の改正について検討が行われる可能性が高いでしょう。

考えようによっては、これは大きなチャンスです。本件に関して、厳罰化に反対する弁護士の有志による電子署名が Change.org上で集められています。ぜひご協力ください。(http://chng.it/PhLvKzvr
むしろこれを機に、医療大麻の活用と大麻の非犯罪化を目指す方向性に議論を進められるよう尽力していきましょう。

文責:正高佑志(熊本大学医学部医学科卒。神経内科医。日本臨床カンナビノイド学会理事。2017年より熊本大学脳神経内科に勤務する傍ら、Green Zone Japanを立ち上げ、代表理事を務める。医療大麻、CBDなどのカンナビノイド医療に関し学術発表、学会講演を行なっている。)

 

 

“大麻使用罪の創設に反対します” への29件のフィードバック

  1. 高梨陽子 より:

    厚労省、警察庁のポスターや動画に嘘がまざっているのは大変な問題です。
    よくお勉強なさってください。

    • よしだ あすか より:

      街角で見かけるposter に つい間違い探し目線が 
      泳ぎます! 
      確かに もっと お勉強して、確たる事実 を 
      目にみえて、わかり易く、あぴーる 頂かない と 
      勘違いposter に なりかね ません ヨ ね!

  2. 杉本涼太 より:

    現行法ですら議論の大きな妨げであり、我々は声を上げることすら躊躇ってしまう話題ですが、正高先生を始め有識者の皆様の運動が、日本の立法機関において、公平で冷静でエビデンスに基づいた建設的議論に発展することを期待して署名させて戴きます。

  3. Akilla Sa より:

    一刻も早く必要としている人々が安心して使える様切に願って署名させて頂きます。

  4. Takashi Koizumi より:

    私は精神科の疾患を持っていてイライラすることがとても多いです。私の兄は少しアルコール依存しています。アメリカでは大麻が合法化されると言うカマラハリスさんの演説を見ました。私は医学的なエビナンスがあるのであれば大麻の使用に賛成します。

  5. Takashi Koizumi より:

    私は精神科の疾患を持っていてイライラすることがとても多いです。私の兄は少しアルコール依存しています。アメリカでは大麻が合法化されると言うカマラハリスさんの演説を見ました。私は医学的なエビナンスがあるのであれば大麻の使用に賛成します。

  6. 芝 景勝 より:

    至極真っ当で冷静な意見の記事、応援しています。
    そもそも誰にも迷惑をかけない大麻、今の大麻取締法がある事でむしろ反社会勢力のシノギの一つになってしまっていると思います。
    それよりは欧米の現状を見習い一産業として認め開いていく方向に沿った方が、農業では耕作放棄地の復活、栽培や加工、コーヒーショップなどなどでの雇用の促進、産業の成長と共に開かれた税収の見込みが必ずあるはずです。
    使用罪など言語道断、基本的人権を侵害している憲法違反だと思います。そして例えば合法の海外で現地の友達からの副流煙で帰国した際に逮捕されるのか?色々ともしもの仮定が含まれていない不透明なシロモノだと思います、有識者会議もどのような立場の誰が何名で開かれた会議をしているのか?
    絶対反対です。

  7. より:

    自分は、大麻合法でもいんじゃないかと思うのですが、いくつか気になったことを。

    (1) 大麻がお酒より安全なのは科学的な事実

    グラフにある社会的影響へのスコアは、社会への浸透性が加味されているように読み取れますが私の勘違いでしょうか?
    すぐそこにあるものと、入手困難で法規制されている物の差が現実に即していない感があります。

    手法として、大麻より危険なアルコールが認められているのであるから、大麻も認められるべき。という論法は興味のない人間からすれば悪手だと思います。

    (2) 大麻はゲートウェイドラッグではない

    ゲートウェイと呼ばれる主要因は、
    似たような犯罪行為への忌避感が薄まること。
    取扱業者が同じ、ないし近い存在であること。
    をもって、ゲートウェイと呼ばれているのではないでしょうか?

    NIDAのリンク先には、アルコールと大麻の関係性、若年での接種にて起きうる問題点等を含め、ゲートウェイとしての性質も示唆しています。
    また、数パーセントしかハードドラッグに手を出さないという結果があるとして、ハードドラッグ使用者の何パーセントが大麻不使用なのかは一般人からの感覚としては欲しいところです。

    真にゲートウェイであるのは、アルコールやたばこである示唆もしていますが、法を破るという意味ではゲートウェイ、もしくは終着としていいかとも思います。
    また、アルコールやたばこと大麻の悪い相乗効果も語られていますので、前者を禁止し、大麻を合法としようとするのは致命的に悪手です。

    摘発人数のグラフについて、
    過去十年からみると2009年には3000人を超えており、そこから数年減少傾向。そして増加傾向になったのが5年前となります。

    覚せい剤の逮捕者は減少していますが、押収量は増加傾向が見えます。グラフに沿うのであれば、570kgから、1200kgへの倍です。
    ただこれは、バレた量、数なのであって、捜査姿勢や隠蔽技術などの影響が大きすぎます。

    総じて。
    無理筋な攻めが目立ちます。

  8. 寺田明弘 より:

    早く医療大麻位合法にしろ!使用罪とか政府は頭だいじょうぶか?体に良い事して何がわるいんだ!

  9. ドゥー より:

    賛同致します。
    術後痛みが酷くお世話になりました。
    大麻は悪い物だという認識は全く無いです。
    アーティストが作った作品が聴けなくなるのもおかしいと思います。
    こんな事よりもNHKをスクランブルにしたり要らない政治家を排除するなり他にやらなければいけない事はあると思います。

  10. 山﨑 直輔 より:

    大麻使用罪絶対反対

  11. Yoshi より:

    お金にならないからと、本当に良い物が隠されている今の世の中。
    早く医療利権が終わることを祈っています。

  12. 高橋努 より:

    絶対反対でそもそもこの法律も必要ないと思います。

    まず、誰も被害者がいないのに、罰則がある意味がわかんないどこまで人を縛る権利をもってるのでしょうか?政府や国は

    建て付けが反社にお金がながれるから!
    いや、それは、反社の問題であって使用してる人の問題でもない。それを取り締まるために警察組織があるんじゃないんですか?
    昔の禁酒法と一緒
    アメリカはそれでダメだから解禁してるよね
    グローバル社会で先進国がOKなのに
    日本がダメって、これからの子供達理解させれますか?また日本特有のダメダメで、考えさせない子供を作るんですか??

    後、健康被害って、そもそも安全ってゆわれてるけど、仮に厚労省がゆうみたいに健康被害があるとする!
    それでも関係なくない?
    人に迷惑かけなければ!
    お酒飲んでる人には迷惑かけてる人いっぱいいます
    飲酒運転する人もいる
    一緒じゃない?
    そもそも大麻ではそうなるとは思えないですよ

    ニューヨーク証券取引所には大麻関連の会社が上場してます!
    zozoより市場価値高いですよ!
    世界に認められててなぜダメ?東証より立派なとこで上場してますよ!

    みんなで思考停止の日本から脱却しましょう

  13. 山川禎之 より:

    戦後から洗脳がすすんで、多くの人が事実に基づかない理論で、闇雲に批判している人が多いです。
    我々は常に自由であり、だれもがその権利を有すことが出来るはず。誰かに迷惑をかける事があれば、その迷惑行為を批判なり処罰することが基本なのに、それを他の物に転嫁するのは本質ではないと思います。絶対に反対です。

  14. 大坪一也 より:

    絶対反対!!

  15. 村田信之 より:

    大麻使用罪の創設に反対する。

  16. 強迫性障害と戦う人 より:

    大麻を必要としている人間がいる。
    大麻はストレスを緩和し、痛みを和らげ、人間を癒す。
    大麻取締法は弱者への弾圧的側面を持つ悪法であり、絶対に許してはいけない。

  17. 浅尾吸子 より:

    大麻は万能薬である。
    あらゆる神経症に効く。
    人類に必要。
    大麻取締法は弱者弾圧。

  18. 中川 虎太郎 より:

    反対です

  19. 三井政慶 より:

    大麻使用罪に反対どころか合法化賛成です

  20. 佐藤ぺぽ より:

    誰でも使えたらとかはまだ先でも良い、本当に必要な人に行き届いて欲しい。
    治療の機会を与える事がなぜ罪なのか。

  21. 河本 ちか より:

    あらゆる病気にも効き目があります、自分の病気に気付いて居ない人も沢山いると思いますそういった人達にも自分の身体をもっと知ってもらう為にも必要な植物です。
    私もその1人でCBDを摂取する様になって自分の身体と向き合う様になりました。
    人類と地球に必要な植物です。

  22. より:

    絶対に反対。
    ありえない。平和と言われる日本の闇。

  23. コナン より:

    大麻合法化に賛成だがある程度の規制、規則は必要
    県や国が管理販売し税収益を県が独自に使えるようにする。先ずは医療大麻合法化から始めて欲しい。
    CBDのペット使用も既に始まっている。
    WHOで大麻の扱いが昨年末に各国の投票がありましたが医療大麻を認めてランクを下げましたが、唯一先進国で反対したのが日本でした。この国は大麻に関しては後進国、発展途上国位にはなって欲しい。

  24. 大麻太郎 より:

    反対

  25. 森滝 進 より:

    厳罰化に絶対に反対します!!
    医療用大麻合法化に大賛成です

  26. たまお より:

    絶対、反対!
    悪法でしかない!
    ただ、健やかに生きて行きたいだけなのに
    なんでこんなに迫害されないといけないんだ?

  27. 竹ノ下望 より:

    迫害だし、悪法だと思います。
    差別を生み、社会関係特に家族関係の崩壊を生む。
    生きづらいから、オーバードーズになる、負のループを生む。

    そもそも重度心身障害者のNSしていましたが、抗てんかん薬としてもっと早く利用されれば多くの人々に恩恵があったのにと思います。
    全体では難病も増え続けています。精神病も。
    これらに効くのに、今頃あたふたと合法国の背中を追いながら、国の上層部は全てわかってやっているのでしょう。薬売るために。
    国際社会の中でいつ大きく転換を図るのか、早いほうがいいと思いますけどね。

  28. つよ より:

    段階的にでも規制を緩めるべきだ

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