大麻を吸うと幸せ & 優しくなれる

大麻の使用経験がない多くの日本人にとって、実際に使用するとどんな作用があるのか? というのは気になるところでしょう。

薬物の作用というのは主観的なものであり、言語化するのは難しいところがあります。また個体差も大きいのも特徴です。しかし各国での合法化に伴い、大麻が持つ精神作用についての研究も進みつつあります。

2020年5月。トロント大学の薬理学研究室の研究チームは、『大麻吸入後の若者の認知機能と気分への急性および遺残性の影響』と題した論文を発表しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32360692/

この研究では、19〜25歳で大麻経験のある健康な男女(大麻を週に1〜4回程度使用)91人を対象に、大麻(高THC品種 or 低THC品種)もしくはプラセボを、10分間、自分が満足するまで吸ってもらい、大麻使用の直後、1時間後、24時間後、48時間後にそれぞれ、主観的な変化や認知機能テストを行い、大麻の作用を評価しました。

気分については、「気分プロフィール検査(POMS)」が用いられました。https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/n3e1aa83f6f13

これは世界中で使用されている65の質問からなる心理テストで、精神科などで用いられます。患者さんの気分は下記の10の項目で評価されます。

① 緊張・不安 ② 怒り・敵意 ③ 抑うつ・落ち込み ④ 友好 ⑤ 疲労 ⑥ 混乱 ⑦ 活気 ⑧ 幸福感 ⑨ 覚醒 ⑩ ポジティブさ

認知機能に関しては、 HVLT-R、DSST、CPT、GPBと呼ばれる評価法が用いられました。これは車の運転に必要な注意力や、短期記憶に関する検査と考えていいと思います。

 

1. 血中のTHC濃度と主観的な「ハイ」の程度

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喫煙直後(5分)のハイの程度は、70〜75点程度でした。1時間後は、低 THC 群では 42点、高 THC 群では 61点まで低下していましたが、血中からも依然として THC は検出されました。これはつまり、大麻使用から1時間後はまだ「キマっている」状態ということです。24時間後(と48時間後)には既に血中から THC は検出されず、主観的なハイも認められませんでした。

2. 認知への影響

従来の研究では、大麻の使用は急性・慢性の認知機能の低下をもたらす可能性が指摘されていましたが、今回の研究では高 THC 品種を使用した際の一時間後の言語にまつわる短期記憶に影響が出た以外は、明らかな認知機能への影響はありませんでした。24時間後、48時間後の結果には明らかな影響はありませんでした。

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3. 使用1時間後の気分への影響

主観的な気分の変化はどうだったでしょうか? ✳︎が付いている数字が、プラセボと比較し明らかな差があった項目です。THC がマイルドな大麻を喫煙した群では、押し並べてみると幸福感が高まり、覚醒度が高まり、気分がポジティブになったことがわかります。

THC 濃度の高い大麻を使用した群では、同じく幸福感、覚醒度、ポジティブなムードに加えて、疲労感の軽減と活気の増強、友好性の高まりが認められる一方で、混乱や不安などのマイナスの因子の増強も認められました。

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4. 使用から1日〜2日後の気分への影響

次に大麻の使用から 24時間後の主観的な変化について見ていきましょう。

ほとんどの項目で、プラセボと違いは無くなっていましたが、「友好性」と「幸福感」に関しては、血中から THC が抜け切った後も持続していました。つまりこれは、大麻を吸ったあとの幸せで他人に優しい気持ちは長く持続するということを示していると考えられます。

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注意すべきは、この調査の対象が「大麻を吸い慣れた人たち」を対象に行われている点です。普段から大麻を喫煙する習慣があるということは、大麻が身体にあっているという可能性が高いでしょう。ですからこの結果を、全く大麻を吸ったことがない人に当てはめることには慎重になるべきです。

しかし少なくともレギュラーユーザーにとって、大麻は認知機能や情報処理能力を損なうことなく、幸福感や友好性をもたらしてくれるギフトであることが改めて示された形になります。

 

 

文責:正高佑志(熊本大学医学部医学科卒。神経内科医。日本臨床カンナビノイド学会理事。2017年より熊本大学脳神経内科に勤務する傍ら、Green Zone Japanを立ち上げ、代表理事を務める。医療大麻、CBDなどのカンナビノイド医療に関し学術発表、学会講演を行なっている。)

 

 

 

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