この度、2024年11月18日に発行された”Integrative Medicine Reports”誌にてタイトルの論文が掲載されました。オープンジャーナルですので、こちらからどなたでも全文を確認いただけます。
要約は以下になります。
背景:Cannabinol(CBN)は1896年に発見されたが、商業利用が本格化したのは2019年以降であり、用途や安全性、有効性については評価されていない。日本は大麻に対する厳しい規制が敷かれているが、CBN製品は2020年後半から合法的に流通している。米国などの合法地域とは異なった用途や用法で使用されている可能性があるが学術的な調査は行われたことがない。
目的:日本におけるCBN製品の用途、自己評価による有効性、依存性、有害事象についての定量評価を行うこと。
方法:CBNユーザーを対象としたオンライン質問表を作成し、SNSで回答依頼を拡散した。
結果:515名の有効回答を得た。用途についてはヘルスケア目的が174名(33.8%)、レクリエーション目的が136名(26.4%)、どちらも当てはまるが199名(38.6%)だった。ヘルスケア用途の詳細は、不眠(325名)、不安(186名)、うつ(181名)が多かった。不眠、不安、慢性痛についてはCBN使用前後で統計学的に有意な自覚症状改善が認められた。またユーザーの82.7%が身体的QOLの改善、84.1%が精神的QOLの改善、55.4%が社会的QOLの改善を報告した。有害事象の経験率は9.9%だったが大半は軽微な症状に留まり、病院受診を必要としたのは1名(0.2%)のみであった。また物質使用障害に該当するのは5.2%であった。
結論:CBNは日本で主にメンタルヘルスケアの用途で使用され、QOLの向上に貢献している。有害事象の経験率は10%で重症度は軽く、依存性は大麻よりも軽度と考えられた。
日本語草稿をこちらのリンクに公開しておきますのでご覧ください。
共同研究者としてご尽力を頂きました、以下の先生方に感謝申し上げます。
梅村二葉、長嶺晶彦、三木直子、赤星栄志、松本俊彦、太組一朗
最後になりましたが調査にあたり、回答を頂きました皆様に改めて御礼を申し上げます。
※本研究報告は令和6年度厚生労働行政推進調査事業(カンナビノイド医薬品とカンナビノイド製品の薬事監視 :太組一朗班長)の一環として実施されました。

執筆者: 正高佑志 Yuji Masataka(医師)
経歴: 2012年医師免許取得。2017-2019年熊本大学脳神経内科学教室所属。2025年聖マリアンナ医科大学・臨床登録医。
研究分野:臨床カンナビノイド医学
活動: 2017年に一般社団法人Green Zone Japanを設立し代表理事に就任。独自の研究と啓発活動を継続している。令和6年度厚生労働特別研究班(カンナビノイド医薬品と製品の薬事監視)分担研究者。
書籍: お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社)、CBDの教科書(ビオマガジン)
所属学会: 日本内科学会、日本臨床カンナビノイド学会(副理事長)、日本てんかん学会(評議員)、日本アルコールアディクション医学会(評議員)
更新日:2025年4月19日
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