卵の栄養をアップ!ニワトリに「麻の実」を食べさせたらどうなる?

2025.09.08 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan
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卵の栄養をアップ!ニワトリに「麻の実」を食べさせたらどうなる?
2025.09.08 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan

・なぜ卵の栄養素を改変するの?
卵は手軽で栄養たっぷりな食品ですが、最近は「もっと体にいい卵があったらいいな」という声が増えています。特に注目されているのが n-3系脂肪酸(オメガ3)です。これは青魚などに多く含まれ、心臓や血管の健康を守る働きがあります。
ただし魚を毎日食べるのは大変。そこで「ふだん食べている卵に、この栄養を増やせないか?」という発想が生まれました。

・そこで「麻の実」
麻の実(ヘンプシード)は、タンパク質や健康的な脂肪酸が豊富なスーパーフード。もちろん、今回使うのはTHCという精神作用成分をほとんど含まない安全な品種です。これをニワトリに与えると、卵の栄養も変わるのでは?と考えたのが今回の研究です。

・実験のやり方
イタリアの大学農場で、1800羽のニワトリを2つのグループに分けました。
普通のエサだけを食べるグループ
普通のエサ+麻の実(1日量の10%)を食べるグループ
4週間後、卵の重さや殻の強さ、栄養成分、味の違いなどを詳しく調べました。

・何がわかったの?
卵の大きさや見た目はほとんど変わらない
卵黄の脂肪の中身が変化
悪玉寄りの脂肪酸(飽和脂肪酸)が減った
体に良いオメガ3(ALAやDHA)が大幅アップ
脂肪酸バランスも改善(n-6/n-3比が下がった)
コレステロールやミネラル量は変化なし
味やにおいに大きな違いはなく、半数以上の人は「どっちが麻の実入りか分からなかった」

・どうして体にいいの?
オメガ3は魚に多い栄養ですが、ニワトリは麻の実に含まれるALAを自分の体内でDHAに変える力があります。そのため、麻の実を食べさせると、卵黄にも自然にDHAが増えていきます。魚の苦手な人でも、卵からオメガ3をとれるのは大きなメリットです。

・まとめ
麻の実を食べたニワトリの卵は、オメガ3が多くて健康的
見た目や味はほとんど同じ
毎日の食卓で手軽に栄養アップができる可能性大

今回の研究は4週間だけの結果ですが、「機能性卵」の新しい作り方としてかなり有望そうです。将来的にはスーパーで「麻の実入り飼料で育った卵」が並ぶ日が来るかもしれません。

参考文献:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12269841/pdf/main.pdf

執筆者: 正高佑志 Yuji Masataka(医師)

経歴: 2012年医師免許取得。2017-2019年熊本大学脳神経内科学教室所属。2025年聖マリアンナ医科大学・臨床登録医。

研究分野:臨床カンナビノイド医学

活動: 2017年に一般社団法人Green Zone  Japanを設立し代表理事に就任。独自の研究と啓発活動を継続している。令和6年度厚生労働特別研究班(カンナビノイド医薬品と製品の薬事監視)分担研究者。

書籍: お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社)、CBDの教科書(ビオマガジン)

所属学会: 日本内科学会、日本臨床カンナビノイド学会(副理事長)、日本てんかん学会(評議員)、日本アルコールアディクション医学会(評議員)

更新日:2025年8月12日

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