ルクマンの命とマレーシアの非犯罪化、帯広の青山哲也さんのこと

2019年6月28日、マレーシア政府はこれまでの大麻を含む違法薬物への厳重な刑罰を見直し、単純所持および使用を非犯罪化する方針を明らかにしました。

 

https://www.asahi.com/amp/articles/ASM6X5DH5M6XUHBI029.html?__twitter_impression=true

 

マレーシアといえば、これまで世界で最も厳しい薬物政策を採用してきており、少量の所持でも無期懲役、最高刑では死刑を採用していました。一方の非犯罪化とは「違法ではあるが、逮捕はしない」という方針であり、政策上の大転換と言えるでしょう。

マレーシア政府がこの英断に至った裏側には、一人の男性の命を賭けた物語が存在するのをご存知でしょうか?

 


 

2018年9月。インターネット上の電子署名サイト、“Change.org”上に、ある署名が現れました。

https://chn.ge/2O9xQAv

『ムランマド・ルクマン氏の解放を』と書かれたタイトルの下には、裁判所と思われる場所で、振り向きざまに親指を立てた男性の写真が添えられています。

ルクマン氏は29歳のマレーシア人。奥さんのお腹には5ヶ月の赤ちゃんがいます。そんな彼は医療大麻の慈善活動家としての顔を持ち、非合法に入手した大麻からオイル製剤を精製し、病人に無償で提供していました。

2018年に彼は逮捕され、260gの大麻が自宅から押収されます。当時のマレーシアでは200g以上の大麻所持で最大刑は死刑です。独立記念日の前夜、8月30日に彼にも死刑宣告が下りました。

しかし、これまでに彼によって、医療大麻の供給を受けた患者の数は800人を超えていました。そんな患者や家族の誰かがChange.org 上に、彼の死刑執行を停止する嘆願の署名をアップすると、それは瞬く間に世界中に広がり、70,000人を超える署名が寄せられました。

それから3週間。事態は想像を超えた展開を見せます。

2018年5月の総選挙によって、マレーシアでは1957年の独立以来、初の選挙による政権交代が起こります。世界最高齢の首相に就任した、親日家のマハティール氏に率いられた新生マレーシア政府は、ルクマン氏の死刑執行の停止を決めました。

さらに、内閣は医療大麻の有用性に関して検証した結果、今後合法化を進める方針で検討していくことを発表したのです。

こうして、マレーシアは薬物の厳罰政策を見直し、非犯罪化制度を導入、アジア諸国で最も先進的な薬物政策を採用する国家へと舵を切りました。一人の活動家の命を賭けた行為が、制度の壁を破った瞬間を我々は目撃したのです。

 


 

日本でも、今、似たような活動が起きています。

北海道帯広市に住む、青山哲也さんは現在、29kgの大麻を営利目的に所持していた容疑で裁判中です。報道では「末端価格 1 億7600万円」とも言われています。

しかし、本人や周囲の証言により、彼は病人に対して、無償および市場価格の⅕程度の格安で大麻を供与していたことが確認されています。本人はその理由を、「世界の合法地域の相場価格で届けたかった。営利目的ではない。」と述べています。彼のこれまでの活動に共感する有志により、Change.org 上で情状酌量を求める署名が立ち上がると、3日で 1,500人近くの署名が集まり、今もその数字は伸び続けています。

https://t.co/YPNJekh8Gl

この、今は小さな署名活動が、何かのうねりへと繋がるのか。
マレーシアの政府が見せた人道的な対応を前に、日本の裁判所はどのような判断を下すのか。

どのような結果になったとしても、私は見届けたいと思います。

 

文責:正高佑志(医師)

 

2 Replies to “ルクマンの命とマレーシアの非犯罪化、帯広の青山哲也さんのこと”

  1. 青山 哲也くんの友達の池田 潤です。ありがとう御座いました!マレーシアは俺の大事な人間の母国です。彼女は孤児や癌患者などを支援する仕事をしていますので、こんな嬉しい事はありません!

  2. なんと!あの薬物犯罪に対して刑が重いマレーシアが。英断です。選挙に行って政治家が変われば、日本も続くことができるかも知れませんね。

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