安倍総理とCBDオイル

2017年も終わり、2018年がやってきました。

昨年は、カナダでの大麻合法化の決定を筆頭に、大麻を巡る社会情勢は世界的には大きく前進しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H26_U7A410C1000000/

2018年の元旦から、カリフォルニア州では嗜好目的での大麻販売が開始され、そのニュースは日本のNHKでも取り上げられた模様です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180102/k10011277251000.html

しかし日本国内においては、昨年も大麻所持での逮捕報道が続きました。茂木健一郎など一部の有識者から擁護の声が上がるも、主要メディアは厚労省の薬物政策に追従する報道姿勢を崩しませんでした。

https://lineblog.me/mogikenichiro/archives/8338272.html

一方でアメリカの薬物取締局(DEA)は2017年、ホームページ上の大麻の害に関する記載を、科学的根拠が無いとして、全て削除しました。

http://www.safeaccessnow.org/iqa_victory

そんな一年の最後に、新たな大麻関連のスキャンダルが持ち上がりました。今回、渦中にあるのはこの国の総理大臣です。
IMG_3307

週刊アサヒ芸能の1.4-11号に「安倍晋三、大麻サプリ使用の禁断生活!」と題された特集記事が掲載されました。記事によると、安倍総理は持病の潰瘍性大腸炎の治療目的に、カンナビス由来の CBDオイルを内服しているとのことです。記事の論調としては、「CBD自体は特に問題がない」としつつも、海外から輸入された製品には THC が微量に含まれている可能性があり、法的にグレーな製品を日本の総理大臣が服用するのはいかがなものか、という内容でした。

相変わらず、大麻=違法=悪、という思考放棄の方程式は残念ですが、本邦の総理が大麻製剤を利用している可能性を知らしめたという点では有意義な報道であったように思います。


潰瘍性大腸炎(UC)は、国が定める指定難病のうちでは最も患者数が多い病気で、全国に16万人以上の患者さんがいます。大腸の炎症に伴い、腹痛、下痢、血便などを繰り返すこの疾患の原因は未だはっきりしませんが、免疫機能の異常が関与していると考えられています。治療には抗炎症薬やステロイド、免疫抑制剤などが用いられます。

http://www.nanbyou.or.jp/entry/62


潰瘍性大腸炎と類縁疾患のクローン病は、医療大麻が効果のある疾患の筆頭に挙げられています。筆者がカリフォルニアのカンナビノイド専門医、Dr. Jeffery Hergenrather を訪ねた際、彼が診てきた患者の治療成績を示してくれたのですが、潰瘍性大腸炎に対する効果には目覚ましいものがありました。実際に37名のIBD(潰瘍性大腸炎 or クローン病)患者に対して、カンナビスの導入前と導入後での症状の評価を行なっており、結果は以下の通りでした。

排便回数: 5.5→3.7
痛み       : 7.0→3.4
食欲       : 3.3→7.7
吐気       : 5.0→2.3
嘔吐       : 2.2→0.6
倦怠感   : 5.7→4.0
抑うつ感:5.8→ 2.7
日中活動: 4.1→6.7
体重       : 141→158
増悪頻度: 5.9→2.2
重症度    : 7.4→3.3

スクリーンショット 2017-12-30 17.06.57大半の患者が、増悪の頻度や重症度がカンナビスを使用することで和らぐこと、下痢が減って腹痛が落ち着き、食欲と体重が回復し、生活の質が改善されたことを報告しています。このようにカンナビスは潰瘍性大腸炎の寛解維持にも、増悪時の症状緩和にも有効であると考えられています。(その他のエビデンスに関しては、以下のレビュー論文を参照下さい。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5388177/#!po=27.9412

大麻草のみならず、CBD単体でも潰瘍性大腸炎に有効である可能性は指摘されており、アメリカでは以下のような治験プログラムが進行しています。
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01037322


今から10年前、第一次安倍内閣は、発足から1年で総理の体調不良の為に瓦解しました。

潰瘍性大腸炎は、ストレスによって増悪することが知られています。当時の安倍内閣は「消えた年金問題」や閣僚の問題発言によって支持率が急落、参院選で惨敗を喫した矢先でした。それらのストレスが、彼の持病を悪化させたのではないかと思われます。

2017年は安倍総理にとって再び、厄災の年でした。

演説時には、反対派の退陣を迫る声が響き渡りました。森友、加計学園問題に、お抱えジャーナリストのレイプ事件など、多くのスキャンダルが表面化し、日々、苦しい答弁を強いられ続けました。傍目には、かなりの精神的ストレスがかかっていたように見受けられます。それにも関わらず、彼はこの一年を乗り切りました。

この10年の間に、変わったのは何なのでしょうか? 安倍氏のストレス耐性が向上したのでしょうか。悲願の改憲への意欲が、彼を限界を超えて突き動かしているのでしょうか。レミケードやヒュミラなどの新薬の登場が一役買っているのでしょうか。もしくはカンナビス由来のCBDが、彼の持病の悪化を食い止めているのでしょうか?

どれが最も効いているのか、それは誰にもわかりません。しかし、本当に安倍総理が CBDオイルを摂取し続けているとしたら、それは彼が CBDの効果を身を以て実感していることの証左ではないでしょうか?
2018年 5月には、WHOの薬物異存専門家委員会が、大麻および大麻製剤の扱いに関して、およそ半世紀ぶりに見直す事が決定しています。今年の11月には、CBDに関する WHOの事前報告書が発表されました。そこには「CBDに依存性はなく、医薬品としての有用である」との見解が記されています。(リンクは日本語訳の PDF です。)つまり、今年の半ばには、CBDオイルは WHO のお墨付きを得る見込みです。

従来、違憲であった兵器と自衛隊の輸出は、安倍総理によって解禁されました。衰退する日本の重工業に活力を、という意図なのでしょう。しかし、この決断は今後、日本製の武器によって海の向こうで多くの被害者が生まれ、同時に多く自衛隊員が、戦闘と帰国後の PTSD によって命を失うことを意味しています。同じ解禁でも、誰の命も奪わず、人々の苦痛を取り除く解禁を、世界の多くの国は選択しています。総理が一介の患者としての立場から政権運営にあたることを、一介の医師として、そして国民として願うばかりです。

コメントを残す