ジェフェリー先生と脳腫瘍の奇跡

私(正高)が医療大麻に関わることを決意したきっかけとなったのが、カリフォルニアの Dr. Jeffery Hergenrather との出会いでした。

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当時、私は定職を辞し、フリーランスの内科医として東京近郊で働きつつ、日本と海外を行き来していました。日本の医療現場で行っていることが、巨悪の片棒を担いでいるように感じられ、何か違った働き方がないかと自分なりに模索していた時期です。

そんなときに、たまたま Facebook 上で社会活動系の友人がシェアしていたのが山本裁判(※①)の記事でした。何となく気になって経過をフォローしていたある日、山本氏の訃報が告げられました。そのときの思いは何とも言葉にしづらいところがあります。それからしばらくして、山本氏の裁判を応援していた NPO法人(医療大麻を考える会)が、日本人で医療大麻の使用を希望する患者さんを連れて、カリフォルニアへの医療ツーリズムを企画しているという話が流れてきました。

その時点では、私は医療大麻に対して半信半疑でした。「てんかんに対して発作予防効果がある」ということは、ナショナルジオグラフィックの特集記事を目にして知ってはいましたが、山本裁判で主張したように、本当にがんに効果があるかに関しては疑わしいと考えていました。

幸い、先々の予定は未定。ちょっと旅行がてらといった気持ちで、私は彼らの医療ツーリズムに、医師として同行する事にしました。


私を含む一行が向かったのは、カリフォルニア州サンフランシスコでした。カリフォルニアは1996年に大麻の医療使用が合法化され、しかも「適応は医療大麻を必要とする全ての患者の、全ての症状」という、極めてリベラルな法律の下に運営される、まさに医療大麻のメッカです。そして、この地には我々に協力を申し出てくれる心強い助っ人がいました。それが Dr. Jeffery Hergenrather でした。

The Society of Cannabis Clinician という、全米の医療大麻専門医たちのネットワークの代表を務める彼は、1996年の解禁当初から大麻に関わり続ける、カンナビノイドの臨床応用での最古参の一人です。カリフォルニアでの今日の繁栄があるのは、患者や活動家と共に彼や Dr. Tod Mikuriya らの臨床家の不断の闘争があったからと言われています。

日本からはるばる訪れた我々に敬意を表してか、ジェフェリー先生もまた、車で3時間の遠路をはるばる、診察のためにサンフランシスコまで出向いてきてくれました。(チベット国旗のステッカーを貼った埃まみれのプリウスに乗って。)そして、医療大麻の実際について、ほとんど知識のない我々一行に対して、ジェフェリー先生は基本的なレクチャーを行ってくれました。

それは私にとっては、まさに目から鱗が落ちるような話でした。そのときに初めて、私はエンドカンナビノイドシステムの存在について知り、医療大麻の適応がこれほどまでに広いことを知ったのです。

有効な病気一覧
ガイダンスの最後に、ジェフェリー先生は自身が体験した最も衝撃的な写真を見せてくれました。「生後16ヶ月の小児におけるカンナビスオイル単体治療での腫瘍消退」と題されたスライドには、治療開始から5ヶ月で腫瘍が確認できないほど小さくなっている写真が示されていました。

 

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「確かにこれは最も劇的に効いたケースだ。けれど仮にこの腫瘍を全て手術で摘出したら、患者は二度と目が覚めないだろうね」


脳腫瘍にも様々な細かい分類が存在します。しかし、一般的には、どれも生命予後は芳しくありません。特にグリオブラストーマと呼ばれる種類の脳腫瘍に関しては、現在の標準治療では手を尽くしても5年後の生存確率は 10% 程度と言われています。この、不治の病と言うにふさわしい病気に対して、大麻草に含まれる THC や CBD が抗がん作用を有することは試験管レベルでは確認されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2806496/

また実際に、医療大麻の使用で脳腫瘍から回復したという患者の声も上がっています。

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(以下はサバイバーである Kelly Hauf さんのブログおよび Facebook Pageです。)
http://www.kellyshealingpath.com/?page_id=44
https://www.facebook.com/kellyshealingpath?fref=nf

臨床試験に関しては、スペインの Guillermo Velasco 教授らが中心となって、臨床試験を計画中であり、その資金はチャリティーとクラウドファンディングを中心に募られているとのことです。(写真はMedical Canabis Bike Tourというチャリティーイベントを主宰し、研究の為の募金を呼びかけるLuc Krol氏とGuillermo Velasco教授)

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https://herb.co/2016/07/01/cannabis-treat-brain-cancer/


「可能性はある、しかし現時点ではエビデンスが足りない。」と良識ある人々は言います。脳腫瘍に対する医療大麻の効果は、未だ確定的なものではありません。これから更なる検証が必要であることは事実です。しかし今、グリオブラストーマと診断され闘病している方々が2年後に生きている確率は 30%です。

そのことを考えるとき、私は思うのです。急がなければならない、と。

 

① 山本裁判: 2015年12月、末期の肝臓ガンと診断されていた山本正光氏が、大麻所持で逮捕された際、「その他に手段がない病状への治療目的であり、憲法25条の生存権の行使である」として無罪を訴えた裁判。

残念ながら山本氏は病状の悪化に伴い他界し、判決は出ないままとなった。

http://www.sankei.com/premium/news/160423/prm1604230016-n1.html

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