医療大麻と線維筋痛症 (2) 進む研究報告

線維筋痛症と医療大麻に関しては、2017年9月に記事を作成しましたが、研究の進歩に伴い再び紹介します。疾患概念および、エンドカンナビノイドとの関連については、以下の記事を参照ください。
https://www.greenzonejapan.com/2017/09/19/

イスラエルからは 2018年と 2019年に、それぞれ素晴らしい成果が報告されました。

一報目は、リウマチ科のハビブ・ジョージ先生の研究チームによるものです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29461346

対象はラニアド病院とナザレ病院に通院する線維筋痛症の患者さんで、かつ医療大麻を使用する26名の記録から大麻の有効性を検証しました。

患者さんの平均年齢は38歳。女性が 7割を占めました。1か月間の大麻使用量は、およそ 18〜34gで、大麻の使用歴は平均 10か月でした。症状に関しては、26人全員が著しい改善を報告し、13人(50%)は大麻以外の鎮痛薬をやめることができました。8人(30%)に極めて軽度の副作用を認めました。

 

もう一報はテルアビブ大学の整形外科医、ムスタファ・ヤシン先生らによる報告です。
https://www.clinexprheumatol.org/article.asp?a=12265

こちらは線維筋痛症に伴う腰痛の患者さんに、まずは麻薬を含む標準治療(オキシコドン9 mg/day + デュロキセチン30 mg/day)を3か月投与し、痛みの改善が得られなかった 31名に対して、医療大麻(20〜30g/月 喫煙または Vape、THC:CBD = 1:4)へと切り替え、半年間の治療を行いました。

治療前に 81/100点だった痛みは、標準治療では変化なく 81/100のままでしたが、医療大麻の使用開始から3か月で 53/100点へ、そして半年で 33/100点へと改善を得ました。

患者さんの主観的な体調の評価も、以下の図のように劇的に改善しました。


(青:標準治療3月後 紫:医療大麻3ヶ月 赤:医療大麻6ヶ月)

2020年にはイタリアのルイージ・サッコ病院リウマチ科のバレリア・ジョージ先生らが、3か月以上の標準治療が効かなかった患者さん 102名に医療大麻を投与した結果を報告しました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32116208

使用されたのはオランダのベドロカンという大麻会社が栽培した、ベドロカン(THC 22%, CBD<1%)とべディオール(THC 6.3%, CBD 8%)という品種の大麻から作られたオイルでした。患者さんは夜間に THC優位のベドロカンを、起床時に THC と CBD が含有された べディオール を内服するよう指示されました。使用量に関しては、自己調整が許可されました。

治験に参加した102人のうち、半年間の追跡が可能だった66人の結果を解析したところ、3割から4割の患者さんに対して医療大麻は著効しました。(症状が30%以上改善した場合を [著効] とします。重症度の評価スケールによって差があります。)

実際に14名が大麻以外の薬をやめることができ、17名が薬を減らすことができました。

副作用として多かったのは、ふらつき(21%)や眠気(16%)でした。

上記のいずれの研究でも、対象となったのはその他の治療に反応が乏しかった難治性の患者さんばかりです。日本にも同様の症状で苦しむ方が多数おられます。一日も早い法改正を望んでいます。

 

文責:正高佑志(熊本大学医学部医学科卒。神経内科医。日本臨床カンナビノイド学会理事。2017年より熊本大学脳神経内科に勤務する傍ら、Green Zone Japanを立ち上げ、代表理事を務める。医療大麻、CBDなどのカンナビノイド医療に関し学術発表、学会講演を行なっている。)

 

 

2 Replies to “医療大麻と線維筋痛症 (2) 進む研究報告”

  1. 先生の論文は拝読いたしました。
    医療大麻は日本では普及させることは難しいように感じます。
    欧米諸国では、依存性の強い薬物を流行させるのを食い止める目的で仕方なく解禁しているのではないかと思われるからです。
    医療大麻推進している方々の本来の目的は、病気や痛みで苦しむ患者の先にある「隠れ蓑」的な何か得体の知れない思惑を感じます。
    どの様な、薬も自然由来か否かに問わず害はあることも合わせて公表して頂きたいと心から願います。

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