よくある反対意見に反論します

2021.01.28 | 国内動向 | by greenzonejapan
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よくある反対意見に反論します
2021.01.28 | 国内動向 | by greenzonejapan

先日、大麻使用罪に反対する根拠についての記事・動画を投稿したところ、たくさんのコメントを頂きました。その中には反対意見も含まれましたが、どれも耳馴染みのあるものでした。代表的なものに対する我々の解答例を改めて示しておきたいと思います。

「使用罪が出来て困るのは大麻を吸っている人だけ。私には関係ない。」

⇒ 貴方の未来の選択肢を狭めます。

大麻の厳罰化は、非喫煙者が将来的に得られる恩恵を損ないます。たとえば、諸外国では THC 含有量(0.2 % 〜 1 %)で大麻とヘンプを分離し、ヘンプを自由化する法整備が進んでいますが、大麻使用罪を作り、微量の THC が尿中から検出されたら罪に問われる法律を作ると、日本では欧米のようなヘンプ CBD 製品の解禁にもストップがかかる事になるでしょう。イタリアでは “カンナビス・ライト” と呼ばれる THC 0.6 % 未満の CBD 製品が解禁されたことで、睡眠薬などの精神科の処方薬の使用量が 10 %程度減少した事が報告されています。https://www.greenzonejapan.com/2021/01/06/italy/

使用罪の創設はこのような恩恵への扉を閉ざすものです。

医療使用は賛成だけど嗜好目的は反対

⇒ 生きづらさを緩和する使用は全て医療用途です

その他の治療法がない疾患や、命に関わる病気に優先して使用が認められるべきなのは間違いありません。しかし、どこまでが医療用途でどこからが嗜好なのかという線引きは、必ずしも簡単ではありません。

たとえば、うつの再発予防の為に使用する大麻は医療と嗜好の境界線に位置するでしょうし、人格障害や発達障害の方が大麻を吸っていた方が人間関係が上手くいくというのも判断が難しいところです。また診断がついていなくても、エンドカンナビノイドが不足しているために具合が悪い人も多くいるのではないかと考えられています。
https://www.projectcbd.org/ja/science/clinical-endocannabinoid-deficiency-reconsidered
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5576607/

WHOによると、健康とは単に病気がないだけでなく、肉体的にも精神的にも、社会的にも全てが満たされた状態と定義されています。

健康の定義

健康に資する大麻の使用法は全て、広義の医療大麻と言うことができると私は考えています。

「大麻でおかしくなった人に危害を加えられても同じ事言えるか?」

⇒ 大麻は暴力犯罪には繋がりません。

お酒で暴れる人がいる為でしょうか、大麻の酩酊でも暴力的になると信じている方がおられますが、これは間違いです。大麻の影響下で暴力的になることは基本的にありません。

一つ有名なエピソードを紹介しましょう。2004年、フランス vs イングランドのサッカーの国際戦を迎えることになったリスボン市民は戦々恐々としていました。というのは「フーリガン」と呼ばれるイングランドの熱狂的なファン達は、酔って乱闘騒ぎや暴動を起こす事で知られていたからです。イベントを円滑に進めるため、リスボン警察は一計を巡らせました。事前に両国のファンに対して、「スタジアムで大麻を吸っていても当局は逮捕せず、いかなる制裁も加えない」と呼びかけたのです。この大麻解禁の結果、イングランドが敗れたにも関わらずスタジアムではいざこざは起きませんでした。しかし街に戻ったファン達がバーで悲しみをお酒で紛らわせると両国のファンは敵対し、数百名の逮捕者を出すことになったそうです。
https://www.theguardian.com/uk/2004/jun/11/drugsandalcohol.football

「むしろお酒やタバコも厳罰にすべき」

⇒ 厳罰化は薬物使用を止める事が出来ない事を歴史が証明しています。

大麻がお酒やタバコより安全であると伝えると、「ではお酒も禁止するべきですね」と仰る方がいます。しかしこれは上手くいかないことを歴史が示しています。1920年、アメリカ合衆国政府はアルコール飲料の製造販売を禁じる禁酒法を導入しました。しかし人々のお酒への欲求を抑えることが出来ず、密造酒がはびこり、粗悪品による健康被害が生じ、違法にアルコールを商うギャングの台頭を許しました。この政策は誤りであった事が認められ、1933年に撤廃されています。ここから得られる教訓は、禁止と厳罰化は薬物問題を解決に導かないということです。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54893860X20C20A1000000/

「大麻が安全というなら、それより安全とされているマッシュルームとか LSD の合法化も訴えるのか?」

⇒ その通りです。医療使用にも注目が集まっています。

同じようなロジックで、「では大麻より安全な薬物とされている LSD や MDMA、マジックマッシュルームも合法化すべきなんですね」と仰る方もいます。答えは Yes です。これらの薬物を違法な状態にしておくメリットは(取締利権を除いて)ありません。むしろ違法なストリートドラッグであるが故に、“混ぜ物”による死亡事故が発生するのです。特に LSD やマジックマッシュルームなどのサイケデリックスは今、うつ病や PTSDなどの治療法の乏しい精神疾患への特効薬としての期待が高まり、研究が進められています。
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/article/2020-03-01-psychedelic-medicine-cnihub

「反社会勢力の資金源になっているから厳しく罰するべき」

⇒ 合法化すれば解決します。

反社会勢力が大麻を資金源にできるのは違法だからです。合法化し国が課税、管理すれば、この問題は解決します。

「海外では “仕方なく” 合法化された」

⇒ そんなことはありません。民主的な投票によって合法化されています。

日本の公的機関やメディアが、海外での合法化に言及する際に頻繁に使われるロジックが、海外では大麻が蔓延し過ぎて規制が困難になったから仕方がなく合法化したというものです。合法化の理由は複合的なものですが、注目して頂きたいのは、民主的なプロセスによって合法化が選択されているということです。アメリカでは 15州で嗜好品としての大麻が合法化されていますが、そのほとんどが住民投票の結果です。現在、日本で行われている密室会議と比べて、オープンなプロセスと言えるでしょう。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Cannabis_in_the_United_States

「海外では合法?ここは日本。嫌なら出て行け。」

⇒ 法律とは改正されるべきものです。六法全書は神のお告げではありません。

我々は日本の法律を守りつつ、制度の見直しを提言しているだけです。社会の変化がめまぐるしい今日、実情に即した法律の修正のために立法府が存在しています。「ここは日本、嫌なら出て行けという文句」は、どちらかというと国家運営の根幹である憲法を改正し、核兵器を合法化しようとしている人たちに対して向けるのが適切だと思われます。

いかがでしょうか? 皆さんの参考になれば幸いです。

文責:正高佑志(熊本大学医学部医学科卒。神経内科医。日本臨床カンナビノイド学会理事。2017年より熊本大学脳神経内科に勤務する傍ら、Green Zone Japanを立ち上げ、代表理事を務める。医療大麻、CBDなどのカンナビノイド医療に関し学術発表、学会講演を行なっている。)

 

 

“よくある反対意見に反論します” への1件のコメント

  1. 忌み無く サトル より:

    はじめまして!マサタカさん。ぶっちゃけた話しマトリの予算の為、国はこの問題を無視し続けてるとは思いません。現にマトリは大麻の事を悪いなんて思ってもいません!あくまで建前です。彼らは覚醒剤しか相手にしてません。暇だから大麻を追う訳でまぁそもそも薬物で手錠をかける事じたいが問題ではあるんですが。大麻取締法の問題を早期に動かすには製薬会社と医師会に、既に合法化されてる他国での大麻が生むお金の流れを何度も、明確に、説明をする必要があると思います。彼らは人の生命よりまずお金の事しか考えません。その次に安全性が証明されている限り、大丈夫!という事で押すしか無いかなと勝手に考察している次第であります。人参ぶら下げなきゃ腰をあげない老馬を動かすには、まずはこれだけ日本から人参が確実に収穫が出来るという数字が、明確に示された時に、老馬が腰を上げる時だと思います!世論が遅れてるのはメディアのせいです。僕らは間違っちゃいませんが、先に気付いただけで偉くもありません。長々とスミマセン!最後に賛成派のエビデンスはあっても反対派のエビデンスが無いので向こうに勝ち目はありません!
    読んでいただき感謝!
    大丈夫!大麻!ゼッタイ!

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