人はなぜ大麻を吸うのか?ー体験談から見える傾向ー

2022.03.18 | GZJ 国内動向 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan
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人はなぜ大麻を吸うのか?ー体験談から見える傾向ー
2022.03.18 | GZJ 国内動向 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan

Green Zone Japanを含む有志一同は2021年8月より大麻使用者を対象とした聞き取り調査を開始し、インタビュー原稿をオンライン上に公開しています。これまでにおよそ50名に近い方の語りを収集しました。それらを包括的に分析することで、なぜ大麻を使用するのかについて、ある程度の傾向が見えてきました。

大麻使用の目的は大きく以下の4つに分類できるように思われます。

1:マインドセットの切り替え

2:コミュニケーションツール

3:医療目的

4:パフォーマンス向上

これらについて私なりの見解を示します。

1:マインドセットの切り替え

もっとも一般的だったのがマインドセットの切り替えの為の使用です。気分転換や息抜きという耳慣れた表現も可能ですが、その医療的意義を軽んじてはなりません。
我々は日々の暮らしの中で、絶え間なく不快な出来事・情報に晒され続けています。これらの不快体験で意識が占拠されると、怒りや悲しみなどの負の感情に浸り続けることになります。その結果として、不眠症やうつ病、不安障害などの精神疾患に罹患する可能性が高くなることは、想像に難くないでしょう。
効率的なマインドセットの切り替え手段を獲得することは、メンタルヘルスの予防医療の一環であり、現代社会を生き抜く上での重要な技術です。

マインドセットの切り替えにおいて最も重要なのは、“今、ここ“の現象に集中し夢中になることにより、頭の中の思考回路をリセットすることです。気分転換の方法は人によって様々でしょうが、大麻使用は従来の多くの方法と併用することによって、“今、ここ“への集中を高め、没入感を向上させる作用があるようです。
音楽を聴く際に大麻を併用することで音楽世界へより深く入り込むことができる、また食事と大麻を併用することで味覚が鋭敏化しより大きな感動を得ることができる、映像作品の鑑賞などの視覚優位のメディアにおいても類似の効果が得られるとの意見は複数の使用者から寄せられました。またマッサージ、ストレッチ、セックスなどの触覚を駆使する営みにおいても、大麻を併用は作用を増強するようです。“大麻を吸うとよく眠れる“という体験談も、睡眠が最も効率的なマインドセットの切り替え方法であり、ストレスによって妨げられることを考えると、この領域に分類されると言えます。

2:コミュニケーションツールとしての大麻

次いで広く寄せられた意見が、広義のコミュニケーションツールとしての大麻の活用体験談でした。多くのユーザーが先輩や恋人などのガイドにより大麻と出会い、大麻を常用するコミュニティーに属することで自身もレギュラーユーザーになるようです。そこで大麻は一種のコミュニケーションツール・絆を強化するものとして機能しており、特に体質的に飲酒できない人々を惹きつけている印象があります。これは大麻に限らずタバコ喫煙、飲酒などにもみられる現象です。(私は医師として職場検診に従事しますが喫煙率は職場毎に著しく異なります。)
また旅行者など初対面のコミュニケーションを繰り返す者にとって、大麻を共有することは人間関係を速やかに円滑にするためのツールとして有効に機能しているようです。

3:医療目的の使用

医療目的の使用とみなされるユーザーも、当初想定していたよりも多く認められました。リウマチや更年期障害などの身体の病気もさることながら、圧倒的に多いのが精神的な不調に対する大麻使用です。うつ病、不安障害、PTSDなどのユーザーが大麻に救われたという体験談は枚挙に暇がありません。また同じくらい多いのが、大麻以外の薬物使用によって起きていた問題から、大麻に切り替えることで抜け出すことができたという声です。睡眠薬、脱法ハーブ、覚醒剤、市販の咳止め、アルコールの乱用などが寄せられています。

4:パフォーマンス向上のために

大麻があることによって、より良いパフォーマンスが発揮できるという意見も複数耳にしました。スポーツにおいてはサーフィン、スケートボード、スノーボードの競技者から実際に大麻の影響下でプレーすることがあるとの声が届きました。
またミュージシャンや映像作家、デザイナーなどのクリエイティブな職種では大麻の影響下でインスピレーションを得ることが非常に有用視されている例があるようです。直接的なプロダクトを生み出さないとしても、大麻を使用し物思いに耽ることにより、普段と異なる思考回路を経て、洞察やアイデアを得るという意見が寄せられました。

看過できないのが、日常生活のパフォーマンス向上に大麻を使用するという声です。農作業や単純作業労働が大麻の影響下で行うことで楽しいものとなる、料理などの家事の意欲が向上する、子育てにおいて心の余裕が出て子供に優しく接することができる、このような体験談は切実さと隣り合わせに感じられました。もしそこに大麻がなかったらネグレクトや虐待といった深刻な事態に陥っていた可能性も十分に考えられるのではないでしょうか。逆に言えば、時折耳にする悲惨なニュースは、ひょっとすると大麻があることで予防できたのではないかという気もしてきます。

これまでGreen Zone Japanでは狭義の医療用途に関する情報発信を中心に行ってきました。しかしそれ以外の大麻使用に関しても、その全てはより良い人生を送ろうという選択の結果であり、それぞれのユーザーの切実さのようなものが文章から伝わってきます。この声がより多くの人々に届くことを私は願っています。

※インタビュープロジェクトは引き続き行っています。体験談を共有してくださる方はこちらからお申し込みください。

執筆:正高佑志(Green Zone Japan代表理事・医師)

“人はなぜ大麻を吸うのか?ー体験談から見える傾向ー” への2件のフィードバック

  1. スタードックス より:

    こんにちは🌞

    意義ある事を教えて頂き、ありがとうございます😊

    これからも、宜しくお願い致します🤲

  2. ヨシハラ カツエ より:

    毎回とても興味深い内容をありがとうございます。
    私はリウマチと診断されてから数年経って、数値はリウマチではなくなったものの、筋の痛みが強くなり大麻が医療で抵抗なく使える日を待ちわびております。
    病院で出していただける鎮痛剤では効かないのです。
    上手に医療用として使えないものでしょうか。

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