難治てんかんにCBDが奏功した症例が論文になりました

2020年6月8日にオンライン先行で公開された Epilepsy & Behavior Reports 誌に、正高が執筆した「CBDで発作が消失した生後6ヶ月の早期乳児てんかん性脳症の一例」と題された症例報告が掲載されました。
https://doi.org/10.1016/j.ebr.2020.100373

これは私の元にメッセンジャーで相談を頂いたお子さんに対し、CBD製剤の提供のとりまとめ、および服薬指導を行ったところ、発作が劇的に減少したケースを主治医の先生方の御協力を頂き学術的に報告したものです。(https://www.bengo4.com/c_7/n_10997/

難治てんかんに対する CBD の有効性に関しては、既に Epidiolex を用いた大規模な治験が行われていますが、治験の舞台は欧米であり、アジア人としての報告はまれです。またこれまでの CBD治験への参加は 2歳からとなっていました。生後半年での有効例はおそらく学術報告としては最年少ではないかと思われます。またサプリメントとしての CBD製剤も、Epidiolex と同等な効果が期待できる可能性を示した点にも学術的な価値が認められました。

効果を確認した時点から、このケースは論文にしなければならないと思っていました。というのは、どれだけ SNS やメディア、学会発表で「効いた!」と叫んでも、査読を経た学術論文としてドキュメントされていないものは、医学界ではゼロカウントだからです。(加えて英語で発信されていないものは、ノーカウントです。)

今回掲載された媒体は Elsevier という世界最大の学術出版社が発行し、インパクトファクターの付いた雑誌です。たかが症例報告、されど症例報告。今回の報告によって、日本国内にも医薬品として CBD を切実に必要とする患者さんが存在することが学術的に可視化されたことになります。

今後、レノックス・ガストー症候群やドラべ症候群に関しては、日本でも CBD の治験が始まる可能性がありますが、そこで良い結果が出たときに、レノックスとドラべ以外の難治てんかんの子どもたちが適応から取り残されることを避けたいという想いが、私には強くあります。今回の論文が、将来的な医療大麻・CBDの適応疾患の議論における布石になることを願っています。

また大切なことは、この論文の筆頭著者である私が社団法人所属のインディペンデントな研究者であるという点です。SNS とニューメディアの台頭により、社会の勢力図は変わりました。音楽の世界では、一度も地上波に登場したことのないインディペンデントのアーティストがドームやアリーナを埋めるのは、当たり前の風景になりつつあります。アカデミズムの世界においても、大学や国立研究所にいなくても、意欲さえあれば学術的な活動はできる可能性を伝えられたら幸いです。

とはいえ、決して私一人の力で辿り着いたわけではありません。私の申し出に快く製剤を提供して下さった Hemptouch Japan の青谷さん。脳波や経過記録などの診療情報の提供を頂きました先生方。執筆に際して貴重な助言を頂いた聖マリアンナ医科大学の太組一朗先生と山本仁先生。投稿に際して多大な協力を頂いたコロラドの Dr. Edward Maa。そして日々、愛と熱意をもってお子さんに向き合っている御両親に、心よりの感謝を述べたいと思います。お二人の詳細な発作記録がなければこの論文は存在しませんでした。

そして、これは一歩目であって、終わりではありません。この子以外にも、CBD や医療大麻によってのみ救われるてんかんの子どもたちがたくさんいます。

私たちは現在、難治てんかんの子どものみを対象に CBD製剤を海外の仕入値で提供するチャリティープログラム『みどりのわ』を運営しています。製剤の供給における条件は

1. 標準医療で手を尽くしたが充分な成果が得られていない
2. 主治医の同意が得られている
3. 学術的なデータ収集と報告に同意、協力する

の三点です。

主治医の先生に、どう伝えればいいか自信がない方には無料で紹介状を書いています。(繰り返しますが、小児てんかんに限ります。)
希望される方は、以下の問い合わせより御連絡ください。
http://www.greenzonejapan.com/midori/

 

文責:正高佑志(熊本大学医学部医学科卒。神経内科医。日本臨床カンナビノイド学会理事。2017年より熊本大学脳神経内科に勤務する傍ら、Green Zone Japanを立ち上げ、代表理事を務める。医療大麻、CBDなどのカンナビノイド医療に関し学術発表、学会講演を行なっている。)

 

 

コメントを残す