CBG(カンナビゲロール)の可能性と用途

2021.12.01 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan
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CBG(カンナビゲロール)の可能性と用途
2021.12.01 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan

大麻草の活用について語る上で、CBD製品の登場は革命的な出来事でした。この成功から得られた教訓は、大麻に含有される個々の特異的な化合物(カンナビノイド)一つ一つに、大きな可能性が秘められているということです。そして大麻には、判明しているだけで100種類以上のカンナビノイドが含まれているのです。今日、THC、CBDに次ぐ“第三のカンナビノイド“として最も熱い視線を注がれているのがCBG(カンナビゲロール)です。

CBGとは?

CBGは通常、成熟した大麻草に含まれるカンナビノイドのうち1%以下しか含有されない“レア・カンナビノイド“です。CBGがその他のカンナビノイドと異なる点は、合成される経路上の立ち位置にあります。大麻草がTHCやCBDを合成する際に、その共通の前駆体として登場するのがCBG(厳密にはCBGA)なのです。つまり、CBGはカンナビノイドの世界における“幹細胞“と言えるでしょう。

化合物としてのCBGの振る舞いは、CBDとTHCの中間のような立ち位置と考えられています。CBGはTHCの主要な作用機序であるCB1/CB2受容体にCBDよりは高い結合性を持つようです。CBGはその他にも、TRPV受容体や、アドレナリンのα2受容体、PPARなどに作用し、セロトニン受容体にアンタゴニスト(拮抗薬)として作用することが知られています。このように様々な受容体に複雑に作用するという意味では、CBGはCBDと非常に似たような振る舞いをすると言えます。

CBG製品登場の背景

1964年に大麻を濃縮したハシシの成分として発見されたCBGは、そのポテンシャルが明らかになるにつれて商業的にも利用可能となっています。今日では品種改良の成果により、15~20%のCBGを含有する品種が流通しているようです。
また特筆すべきは、遺伝子工学を用いた生合成が可能となっている点です。これは大麻草が持つCBGを合成する遺伝子を特定し、酵母などの単純な生物に組み込むことによって、酵母を使ってCBGを製造するという方法です。同様の手法は、たとえばインスリンの合成に使われています。(生合成が可能となる前の時代には、ブタやウシの膵臓をすり潰してインスリンを製造していました。)
酵母を用いたCBGの合成についての論文は2019年にNature誌に掲載され、今日ではこれらの酵母を使ったカンナビノイド製造を専門とする企業が誕生しています。これらの新技術が一般的になれば今後CBGの価格は低下することが見込まれ、それに伴って利用も広がることが見込まれます。

CBGのエビデンス、期待される疾患

米国立医学図書館が運営するPubmedという論文データベース上では、2021年11月21日の時点で”cannabigerol”で検索すると257件の論文がヒットします。同条件でのヒット件数がCBDで4386件、THCが10,744件であることを考えると、CBGについての研究は幕を開けたばかりと言うべきでしょう。現時点では、人を対象とした大規模な臨床試験結果は報告されていませんが、基礎研究では神経保護作用からALSなどの治療法の乏しい神経疾患での応用が期待されています。また脳梗塞の初期に投与することで、神経細胞を保護する可能性が報告されています。
またCBGは抗炎症作用を有するため、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患への応用可能性が追求されています。さらに、がん治療の領域ではCBDとCBGの併用療法に期待が寄せられ、抗菌作用を活用した薬剤耐性菌(MRSA)への治療応用や、口腔内衛生の維持の目的で注目が集まっています。

実際の用途について

既にCBGが流通している地域で、人々がどのような目的で使用しているかについて、Ethan Russoらが2021年に学術的な報告を行っています。
この調査には過去6カ月間にCBGを主成分とする大麻を使用したことがある21歳以上の米国居住者、127名が参加しました。参加者の51.2%はCBGを医療目的で、 36.2%は医療と嗜好目的の両方で使用しており、嗜好目的のみの使用を報告したのは6.3%でした。CBGを使用した主な症状は、不安(51.2%)、慢性疼痛(40.9%)、うつ病(33.1%)、不眠症/睡眠障害(30.7%)でした。
有効性の評価は高く、大多数の人がCBGによって症状が「非常に改善された」または「かなり改善された」と回答しています。実際に使用者の73.9%が慢性疼痛、80%がうつ病、73%が不眠症、78.3%が不安症において、CBGを多く含む大麻が従来の医薬品よりも優れていると感じていました。副作用については16.5%が口渇、15%が眠気、11.8%が食欲増進、8.7%が目の乾きを自覚していました。
この調査結果から、CBGの適応はCBD製品の適応と類似しているが、より医療用途に特化して使われていると言えるでしょう。

まとめ

このようにCBGが大きな可能性を有することは間違いがありませんが、一方ではCBDの成功と経済的なメリットから、期待が先行している感は否めません。医療業界には“新薬は2年寝かせろ“という有名な格言があります。今後も最新の研究結果を継続的に報告していきたいと思います。


執筆:正高佑志(医師・一般社団法人Green Zone Japan代表理事)

“CBG(カンナビゲロール)の可能性と用途” への2件のフィードバック

  1. キャディ より:

    脳梗塞の初期に投与することで、神経細胞を保護するというのはとても気になります。
    貴重な情報をありがとうございます。

  2. 勝本雅博 より:

    CBGの可能性と正高先生のご活躍を心より期待しております。
    私は「てんかん」です。
    発作が怖くて精神的な苦痛に悩まされて来ましたが、
    もう悩みません。
    解放のきっかけを与えてくれたのが正高先生でした。
    思い返すと処方箋で薬漬けになり、発作と内臓の破壊による不快感が今では、軽やかな笑顔、爽快感に変わりつつあります。
    これからも応援させて頂きます。

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