2022年版:CBDについての役に立つQ&A集

2022.01.04 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan
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2022年版:CBDについての役に立つQ&A集
2022.01.04 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan

2021年5月出版の拙著の中で、CBDについてのよくある質問に回答しました。それ以降も研究は進展しており、新たな知見が日々蓄えられつつあります。今回は実際にCBD製品を使用する上で役に立つであろう知識をQ&A形式で紹介します。
(摂取量などについての最も基本的な疑問はこちらをご参照ください。)

 

Q:CBDの使用期限ってあるの?保存はどうすればいいの?

A:冷暗所で保存し、開封したら3ヶ月以内に使い切りましょう。オイルよりもパウダーの方が日持ちがします。

一般的に病院で処方される医薬品は未開封で3〜5年が使用期限と言われています。CBDは食品扱いなので、使用期限表示は義務付けられていますが、ほとんどの食品は賞味期限が切れた後でも美味しく食べることが可能です。それではCBD製品の使用期限表示には、どれくらいの妥当性があるのでしょうか?この問いに対しては、2021年3月にチェコ共和国の研究チームが報告した論文が一つの目安となります。
彼らは未開封/開封済みのCBDオイルを25℃/40℃環境に1年間放置し、その間にCBDがどれくらい変性するかを調査しました。その結果、開封後に温暖環境に置かれたCBDは90日までは成分が80%残存していますが、180日の時点では10%以下になっています。また未開封で常温に置かれたものでも1年後には60%まで低下しています。この結果から、CBDオイルは開封後は3ヶ月以内に使い切ることが望ましいこと、未開封でも1年以内は保存しない方がいいこと、保存は冷暗所が望ましいことが示唆されます。またこの研究チームは同時に、CBDのパウダー(結晶のままオイルに希釈していない製品)も、同様の条件下で1年間放置し成分の変性を調査しています。こちらではいずれの環境でも1年後に90%以上CBDが残存していることが示されました。この結果からCBDを(在庫などで抱え)長期保存する場合は、オイルに希釈させず結晶のまま置いておくのが望ましいと言えるでしょう。実際に“みどりのわ“ではCBDのパウダーを提供し、使用開始前にユーザーにオイルで希釈してもらう方式を採用していますが、その背景にはこのような事情があります。

Q:粉のまま飲んでもいいですか?

A:オイルに溶かしてから摂取すべきです。そのほうが吸収効率が高まります。

パウダーのまま保存した方が日持ちが良いなら、わざわざオイルに希釈せずパウダーのまま服用すればいいのではないか?というのは一見妥当なアイデアに思えます。しかしながら、これは燃費の観点から推奨できません。2021年5月に、カンナビノイド研究で数々の実績を有するブラジルのクリッパ教授らが興味深い研究結果を報告しています。
教授らは150 mgのCBDをパウダーのままカプセル化/オイルに希釈した後カプセル化したものをそれぞれ15名の健常者に服用させ、血中のCBD濃度を測定しました。するとオイルに希釈させたものの方が血中濃度が4倍近く高まることが判明したのです。

脂分を豊富に含む食事の後にCBDを摂取すると、CBDの吸収効率が5倍ほど高まることはミネソタ大学の研究チームによっても指摘されています。

Q:キャリアオイルは何がいいの?

A:定説はありませんが、Epidiolexには太白ごま油が使われています。天然の油が望ましいようです。

自身でCBDを希釈する際に使用するオイル(キャリアオイル)に、何を選ぶべきかという点については、現時点では結論は得られていません。GW製薬は自社の処方箋医薬品(Epidiolex)の開発において、太白ごま油(※ごまを焙煎せずそのまま圧搾し油分を抽出したもの)を選択しました。理由は開示されていませんが、それなりのメリットがあるのでしょう。

太白ごま油の代わりに、オレイン酸、リノレン酸などの脂肪酸を単離したものを使用することで、理論上は吸収効率が上がるのではないかという検証を英国・ノッティンガム大学の研究者らが行い、2021年3月に発表しましたが、選択肢の中で最も高い吸収効率を示したのはごま油でした。この結果から、キャリアオイルには天然の食用油を用いるのが望ましいと考えられます。

Q:食前、食後だとどちらに使用するべき?

A:食後に摂取した方が吸収が良いようです。

食事とCBD摂取のタイミングに関しては、これも燃費の観点から食後が望ましいことが科学的に示されています。
大麻専門コースを創設したことで知られるミシガン大学薬学部の研究チームが、過去のCBDに関する44のデータセットを用いてシステマティック・レビューを行なったところ、食後の摂取がより高い血中濃度をもたらすことを示しています。
また2021年5月にはニューメキシコ州立大学とトレイト・バイオサイエンス社の研究チームの研究により、空腹時に摂取した場合のバイオアベイラビリティが0.65%であるのに対して、食後は14%まで高まることが示されました。
特に脂肪分を多く含む食後に利用効率が高まるのは先述の通りです。

Q:どれくらいの期間飲むと効いてくるの?

A:効果判定は最低、1週間待ちましょう

CBDを使い始めてから、効果があるかどうかを判断するのにはどれくらいの期間継続すればいいのでしょうか?最新の研究が示唆する答えは1週間です。
2021年3月にカナダの大麻企業キャノピー・グロースとジョンズ・ホプキンス大学の合同研究チームの報告によるとCBDの血中濃度が一定に達したのは使用開始から7日目とのことでした。
効果の判断は7日を過ぎて体内のCBD量が安定してから行うのが望ましいと言えるでしょう。

このように、カンナビノイドについての情報は日々更新されています。継続して学び続ける姿勢が重要です。

執筆:正高佑志(医師・一般社団法人Green Zone Japan代表理事)

 

“2022年版:CBDについての役に立つQ&A集” への2件のフィードバック

  1. 藤井 より:

    すごく勉強になります。
    効果測定に7日間とのことですが、これは毎日一定量を摂取している前提ですか?例えば1日だけ100mg経口摂取したとしても、その、効果の判断は7日目以降にすべきでしょうか?

    • greenzonejapan より:

      毎日一定量を摂取している前提です。1日だけ摂取することを想定していません。

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