『CBDエッセンシャルガイド』出版のお知らせ

2022.01.27 | GZJ 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan
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『CBDエッセンシャルガイド』出版のお知らせ
2022.01.27 | GZJ 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan

CBD と医療大麻に関する2冊めの訳本となる『CBDエッセンシャルガイド』が晶文社より 2022年 1月 27日に出版されました。原書の体裁を忠実に再現し、全頁フルカラー、横組みレイアウトの綺麗な本に仕上がりました。実用的で、初心者の方にも読みやすいと同時に、科学的なエビデンスも豊富に網羅しています。

この本の出版に至った経緯と訳者としての思いを訳者あとがきにまとめましたのでご紹介します。

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2013年 8月、アメリカで CNN のドキュメンタリー番組『WEED』を見たときの衝撃ははっきり覚えています。それは前年の11月、大統領選挙と同時に行われた住民投票により、滞在していたワシントン州とコロラド州で嗜好大麻が合法化され、嗜好大麻を販売するショップの開店が待たれていた、そんな時期でした。

『WEED』にはそのコロラド州に住むシャーロットという少女が登場します。ドラベ症候群という難治性小児てんかんに苦しむシャーロットの発作が CBD を豊富に含むティンクチャーによってぴたりと止まる様子は、全米で大きな話題となり、同様の病気の子どもを持つ家族がコロラド州に移住するという社会現象を巻き起こしました。

その数年前からCBDという言葉を聞いたことはあったものの、それが何物なのかがよくわからなかった私は、この番組を見てようやく納得し、すぐに日本語字幕をつけました。日本で同じようにCBDについて知りたがっている知人たちに是非見せたかったからです。

2015年にはコロラド州の大麻規制や市場を視察する機会があり、シャーロットや同じくCBDに救われた子どもの母親たちが中心になって立ち上げた患者支援団体、Realm of Caring のオフィスを訪れて話を聞くこともできました。自分の子どもが CBD に救われた、だから他の人も助けたい、という母親たちの熱い気持ちに支えられた Realm of Caring は見る間に成長し、今では政策の提言や医療大麻のリサーチにも広く関わる有力団体です。

その CBD が、実はカリフォルニア州の一握りの大麻合法化活動家たちによって、意識的に市場に紹介され、普及促進されたものであることを知ったのはもっと後になってからでした。

THC をはじめとするいくつかのカンナビノイドが単離され、その構造が解明されたのは 1960年代のことです。以来、精神を高揚させる(いわゆる「ハイ」な状態を生む)作用があるがために THC にばかり集まっていた注目をよそに、細々とではありますが THC 以外のカンナビノイドに関する研究も引き続き行われており、CBD が持つ医療効果についての研究の成果が 2000年代初頭から学術会議などで報告されるようになりました。それを鋭いアンテナでいち早くキャッチした合法化活動家たちは、人をハイにすることなく医療効果を発揮する CBD が合法化推進の武器になり得ると考えました。そうした活動家の一人が、ジャーナリストであり著述家であるマーティン・リーであり、彼が仲間のジャーナリストとともに 2010年に創設したのが、教育と啓蒙のためのウェブサイト、Project CBDhttps://projectcbd.org)です。

シャーロットのてんかんに奏功し、のちに「シャーロッツ・ウェブ」と名付けられた品種は、実はこの頃に彼らが北カリフォルニアで発見し、普及に努めた高 CBD 品種の一つであったと言われています。ですから Project CBD はまさに、現在世界を席巻する CBD ブームの仕掛け人の一人であり、この現象のグラウンド・ゼロと言っても差し支えないのです。

私がマーティンと知り合ったのは 2014 年か 2015年だったと思います。毎年シアトルで開かれる大麻合法化のためのフェスティバル、シアトル・ヘンプフェスに出店していた Project CBD のブースで彼の著書『Smoke Signals: A Social History of Marijuana – Medical, Recreational, and Scientific 』を購入したのがきっかけです。その後、医師や研究者による医療大麻関連のセミナーや講演に出席する中で、たびたび Project CBD が「信頼できる情報サイト」として紹介されるのを耳にするようになりました。

Project CBD の日本語版を作りたいと提案したのは 2016年のことです。日本には 2013年からすでに CBD の製品が輸入されていましたが、アメリカで 2014年に「ヘンプ」というものが法的に定義され、冒頭で触れた『WEED』の影響で CBD 人気が爆発的に高まるなか、日本にもいずれその波が押し寄せるのは必至であり、CBD と医療大麻に関する正しい知識を紹介することが必要だと思ったからです。結局その実現には4年を要しましたが、Project CBD の日本語版(https://projectcbd.org/ja)は 2020年10月にスタートして、アメリカの医療関係者が厚い信頼を寄せる Project CBD のコンテンツをリアルタイムで日本語にしてお届けしています。

Project CBD の使命は設立当初から一貫して、科学的エビデンスに基づいた正確かつ公正な情報を、専門家でなくとも理解できるわかりやすい言葉に「翻訳」して一般読者に伝える、ということです。非営利団体として、製品の販売などは一切せず、10年以上にわたって CBD と医療大麻に関する最新の情報を伝え続けてきた Project CBD のコンテンツの豊富さと信頼性は、特にアメリカで大麻の合法化に関心を持つ人ならば知らない人はいないと言っても過言ではありません。

そんな Project CBD のコンテンツに目をつけて本書の原書の出版を提案したのがリーダーズ・ダイジェスト社でした。原書は、Project CBD が10年あまりの間に蓄積したコンテンツを、リーダーズ・ダイジェストの編集者が編纂して書籍にまとめ、2021年7月に出版されたものです。日本ではあまりそういう印象はないかもしれませんが、リーダーズ・ダイジェストと言えばアメリカでは昔から「保守的」なことで知られてきた雑誌です。そのリーダーズ・ダイジェストがこのような書籍を作るというのは、まさに時代の変化を象徴しているように思います。

やはり晶文社から 2019年に翻訳出版された『CBDのすべて: 健康とウェルビーイングのための医療大麻ガイド』と同様、今回も、日本にはそのままあてはめることができない内容部分も割愛することなく訳出しました。今や世界には医療大麻・嗜好大麻が合法な国と地域がたくさんあり、日本の理不尽な法規制さえなければどんなことが可能なのかを日本の皆さんに知っていただきたいからです。

医療大麻の合法化(legalization)の一歩先には普通化(normalization)があります。医療大麻を使うことが何ら特別なことではなく、ごく当たり前に、日常の一部として自分の健康に役立てることができる、それが normalization です。現在日本で入手できる CBD 製品の人気の高まりはそんな日常への入り口として大いに役立っていると思いますし、これまで医療大麻について何も知らなかった、関心もなかった人に医療大麻について知ってもらうきっかけとして歓迎すべきことです。けれども、「CBDというサプリメント」と「大麻という違法薬物」を意識的に切り離そうとしたり、CBD を使えることで満足してしまうのは非常に残念なことと言わねばなりません。繰り返しますが、CBD はそもそも、医療大麻合法化の切り札として紹介されたのです。本書を通じて、そのことを少しでもご理解いただけることを願っています。

2021年12月

三木直子
Project CBD 日本語版ディレクター
一般社団法人 Green Zone Japan 理事

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