大麻とランニングは相性がいいか?

2024.04.16 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan
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大麻とランニングは相性がいいか?
2024.04.16 | 大麻・CBDの科学 | by greenzonejapan

大麻はその精神作用の特性から、人間を怠惰にし運動量を減らすという固定観念が広く流布しています。そのため、大麻の合法化は運動不足の蔓延を悪化させるのではないかと懸念されています。しかし一方で近年、運動(例えば、ランニングなど)と同時に大麻を使用することでパフォーマンスが高まるという声も上がるようになり、運動と大麻の併用に対して社会的関心が寄せられているのも事実です。

大麻使用は運動に際してどのような主観的影響を与えるのかについて、2023年12月に初めての実験結果を報告したのはコロラド大学ボルダー校の研究チームでした。

この実験には、①21歳から50歳で、②病気がなく健康、③中等度〜強度の運動を30分以上行うことができ、④これまでに複数回、大麻を使用してランニングした経験がある被験者がリクルートされ、最終的に42名が解析対象となりました。

被験者は①大麻を使用しない状態、②THC優位(THC24%, CBD1%)もしくはCBD優位(THC1%,CBD20%)のいずれかを使用した状態、のそれぞれで40分間、ランニングマシーン上で運動し、運動中10分毎に主観的な体感について、記録者に対して報告しました。運動強度は大麻使用時の平均が75%HRmax、非使用時が73%HRmaxであり、いずれもそこそこにハードな運動強度と言えるでしょう。

大麻の使用に関しては、ユーザーは1gの大麻をディスペンサリーで購入するよう指示され、それを自分の好きな分だけ、好きな方法(ジョイント、パイプetc)で喫煙するように指示されました。使用量の平均は0.37gでした。

被験者に対する事前アンケートでは、被験者の90%が大麻使用は楽しさを増強すると回答しました。一方でパフォーマンス向上につながるかについては、そう思うと回答したのは20%強にとどまり、そうは思わないと考えている被験者が多いことが明らかになりました。

運動時の自覚的なキツさに関しては、THC品種の摂取群では軽度の上昇が認められました。

この研究では感情的な影響を感情価(ポジティブーネガティブ)と覚醒度(高覚醒ー低覚醒)で評価しましたが、THC品種、CBD品種共に感情価はポジティブな影響が認められました。覚醒度については、THC品種は覚醒を促した一方で、CBD品種に関しては統計的に有意ではないものの、覚醒度は低下する傾向がありました。

運動時の楽しさについては、THC品種、CBD品種ともに向上しました。またランナーズハイの得やすさについても、どちらも上昇する傾向がありました。

これらの結果から、大麻の使用はランニングなどの有酸素運動とは相性が良いと考えることができるでしょう。また精神作用がないとされるCBD優位の品種においても、楽しさの向上などの作用が認められた事は重要な発見と言えるかもしれません。

また2023年12月に発表された別のランダム化比較研究では、運動後にCBD35mg/CBG50mgを含む水溶性パウダーを摂取することで、実験的に誘発された筋肉痛の回復が早くなる傾向があることが示されました。

カンナビノイドの使用が運動に与える諸々の影響については、今後の更なる研究の進歩が予想されます。

正高佑志(医師・Green Zone Japan代表理事)

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