多汗症とCBD

2022.06.17 | 大麻・CBDの科学 病気・症状別 | by greenzonejapan
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多汗症とCBD
2022.06.17 | 大麻・CBDの科学 病気・症状別 | by greenzonejapan

中学生の頃、自分が手汗をかきやすいことを気にしていた同級生の女の子がいました。特に緊張すると発汗が亢進するので、好きな人と手を繋ぐというシチュエーションでは文字通り汗が滴るのではないかと心配になるとのこと。医学的には局所多汗症と呼ばれる病態で、もちろん生命予後には関係がありませんが、大事な時に誰かの手を握れるかどうかは、場合によっては人の一生を大きく左右します。

このような悩みを抱えている方の数は実は少なくないようです。日本国内の調査では、手のひらの多汗症に罹患している人の割合は5.3%にも上ると報告されています。治療法としては、交感神経を遮断する手術やボツリヌス毒素の局所注射などが選択肢として存在しますが、手軽で効果の高い内服薬というのは存在しません。

参考:多汗症(日本皮膚科学会)

この多汗症に対してCBDが奏功したとの学術報告が認められており、2022年2月にブラジル・サンパウロの病院に所属するPitliukらは、CBDによって偶発的に多汗症が改善した2例について詳細を伝えています。

1例目は43歳の男性で思春期から社会不安障害を患っており、これまでに心理療法に加えて、デュロキセチン、パロキセチン、クロナゼパム、エスシタロプラム、プロプラノロール、クエチアピン、バルプロ酸、アリピプラゾールなどの治療薬の使用経験がありました。それらの治療薬は不安に対しては一定の効果がありましたが、薬剤の副作用として発汗の増加が認められていました。
専門家に受診した際、患者は頻脈、呼吸困難感、極度の不安と発汗増加を自覚しており、それらの症状により患者は就業困難となっていました。
そこで専門家より、CBD(THC非検出) 300mg/回を一日1回、出勤の1時間前に内服するようにアドバイスがありました。また人と会わない日には試験用量として50 mg/dayを摂取するように指示されました。
CBDは不安感に対して処方されており、発汗に対して効果が得られるとは説明されていませんでしたが、服用を開始した後、患者さんは誰かに挨拶をした後、手汗を拭くためにポケットからハンカチを取り出す必要がないことに気がつきました。
数ヶ月が経過した後、彼は自身の多汗症が完全に改善していることに気がつきました。試しに自己判断でCBDを休止したところ、数日で再び多汗を認めました。再度CBDを使用開始するとその日のうちに症状は改善しました。その後、患者さんは維持量として50 mg/dayのCBDを一日2回に分割して服用継続しています。

2例目は自閉症、自律神経失調症、てんかんと診断されている27歳の女性で、節々の痛み、不安、両手の汗、社交障害、排尿違和感などの症状に悩んでいました。過去にイミプラミン、クロナゼパム、アテノロール、カルバマゼピン、トピラマート、バルプロ酸、ラコサミド、リスペリドン、ラモトリギンなどの併用治療を行ってきましたが、十分な症状緩和は得られていませんでした。
そこで専門家からCBD(THC:0.3%未満の製品)の使用が提案されました。使用により患者の腹部不快感と両手の発汗改善が得られました。現在、一日50 mg/dayで維持量として摂取しています。

50 mg/dayというのは経済的にも維持可能な用量であり、日本でも治療選択肢として検討する価値はあるように思われます。

執筆:正高佑志(医師・一般社団法人Green Zone Japan)

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