CBD新製剤「CBtru」の薬物動態を検証&CBDは食後に飲むとコスパ3倍

2026.08.31 | 大麻・CBDの科学 海外動向 | by greenzonejapan
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CBD新製剤「CBtru」の薬物動態を検証&CBDは食後に飲むとコスパ3倍
2026.08.31 | 大麻・CBDの科学 海外動向 | by greenzonejapan
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CBDは体内にきちんと吸収されているのか

医療大麻由来のカンナビノイドであるCBD(カンナビジオール)は、小児てんかん治療薬として承認されているだけでなく、疼痛や不安、神経疾患などへの応用が世界的に研究されています。しかし、CBDには経口投与時の吸収効率が低いという長年の課題がありました。従来のオイルベース製剤では、生体利用率(バイオアベイラビリティ)がわずか6〜14%程度にとどまるとされ、しかも食事の有無によって血中濃度が大きく変動することが知られています。

今回、CNS Drugs誌に掲載された論文では、新しい粉末カプセル製剤「CBtru」と、すでに小児てんかん治療薬として承認されているオイルベース製剤「Epidyolex(米国名Epidiolex)」を比較し、薬物動態(PK)と安全性を検証した第I相臨床試験の結果が報告されました(Bendik et al., 2026)。

なぜこの研究が重要なのか

CBDは脂溶性が高く水に溶けにくいため、経口摂取した際の吸収は不安定になりがちです。Epidyolexはゴマ油ベースの溶液として処方されていますが、高脂肪食と一緒に摂取すると血中濃度曲線下面積(AUC)が最大5倍まで増加することが報告されており、食事の有無によって効果が大きく変わってしまう可能性があります。また、投与のたびに専用の計量器具を使う必要があり、服薬ミスやこぼれのリスクも指摘されてきました。

そこで研究チームは、160種類以上の固形CBD製剤をin vitroでスクリーニングした中から選ばれた、乳化技術を用いた粉末カプセル製剤「CBtru」を開発し、Epidyolexとの比較試験を行いました。

研究方法:32名を対象とした4期クロスオーバー試験

本試験はカナダの単一施設で実施された、無作為化・非盲検・4期クロスオーバーデザインの第I相試験です(ClinicalTrials.gov ID: NCT06578455)。健康な成人57名がスクリーニングを受け、22名が組み入れ基準を満たさず除外、3名は既に定員に達していたため除外され、最終的に32名(男性16名、女性16名)が無作為に割り付けられました。

参加者は全員、CBtruとEpidyolexの両方を、空腹時と摂食時のそれぞれの条件下で1回ずつ、合計4回にわたり400mgのCBDを単回投与されました。各投与間には最低14日間のウォッシュアウト期間が設けられました。摂食条件では、800〜1000kcal(脂肪由来が約50%)の高脂肪・高カロリー食(卵、ベーコン、バター付きトースト、ハッシュブラウン、全乳など)を投与30分前までに摂取しています。血漿サンプルは投与後24時間にわたって14時点で採取され、CBDおよびその代謝物である7-OH-CBD(活性代謝物)と7-COOH-CBD(不活性代謝物)の濃度がLC-MS/MS法で測定されました。最終的に30名が試験を完遂しましたが、安全性・PK解析には無作為化された32名全員が含まれています。

結果:空腹時にはCBtruの代謝物曝露が有意に高い

空腹時条件では、CBDのAUC0-24の幾何平均比(GLSMR)はCBtru対Epidyolexで115.26%(p=0.204)、最高血中濃度(Cmax)は134.60%(p=0.065)、無限時間まで外挿したAUC(AUCinf)は101.89%(p=0.880)でした。数値上はCBtruの方が高い傾向にあったものの、統計的有意差には至りませんでした。ただし、Cmaxの幾何変動係数(geometric CV)はCBtruで73.5%、Epidyolexで117.1%と、CBtruの方が個人差の少ない、より予測可能な吸収パターンを示しました。

一方、代謝物の曝露については明確な差が見られました。活性代謝物である7-OH-CBDのAUC0-24はCBtruがEpidyolexの149.15%(p<0.001)、Cmaxは184.52%(p<0.001)でした。不活性代謝物の7-COOH-CBDについても、AUC0-24が158.35%(p<0.001)、Cmaxが168.93%(p<0.001)と、いずれもCBtruで有意に高い値を示しました。7-OH-CBDのAUCinfについても127.18%(p=0.019)とCBtruで有意に高い結果でした。

最高血中濃度に達するまでの時間(tmax)の中央値は、CBDおよび7-OH-CBDともにCBtruの方が早く(3時間 対 3.5時間)、より速やかな吸収が示唆されました。半減期(t1/2)はCBDが6.4時間対7.1時間、7-OH-CBDが10.0時間対11.4時間、7-COOH-CBDが27.1時間対29.8時間と、両製剤で概ね同等でした。

活性薬物曝露(ADE:CBD+7-OH-CBD)のAUC0-24のGLSMRは127.13%(90% CI 108.62-148.79%、p=0.013)、総薬物曝露(TDE:CBD+7-OH-CBD+7-COOH-CBD)は154.54%(90% CI 136.92-174.43%、p<0.001)と、いずれも空腹時にCBtruで有意に高い曝露を示しました。

摂食時にはほぼ同等の曝露、しかし吸収速度はCBtruが優位

摂食条件下では、CBDのAUC0-24のGLSMRは99.25%(p=0.946)、Cmaxは125.29%(p=0.155)と、統計的有意差は見られませんでした。7-OH-CBDのAUC0-24は107.84%(p=0.298)、Cmaxは119.85%(p=0.113)、7-COOH-CBDのAUC0-24は114.18%(p=0.079)、Cmaxは98.85%(p=0.884)と、いずれも両製剤間で同程度の曝露量でした。

ただし、CmaxのCVはCBDについてCBtruが61.4%、Epidyolexが73.3%と、摂食時でもCBtruの方がばらつきの少ない結果でした。またtmaxの中央値は、CBDが5時間対8時間、7-OH-CBDが5時間対12時間と、摂食時でもCBtruの方が有意に早く吸収されることが示されました。

ADEのAUC0-24のGLSMRは100.77%(90% CI 86.18-117.82%、p=0.936)、TDEは110.68%(90% CI 98.13-124.84%、p=0.165)で、いずれも統計的有意差はなく、摂食時の全体的な曝露量は両製剤でほぼ同等でした。

食事の影響:両製剤ともCBD曝露が数倍に増加

CBtruでは、摂食時のCBD曝露が空腹時と比較してAUC0-24で301.43%(p<0.001)、AUCinfで348.69%(p<0.001)、Cmaxで209.24%(p<0.001)と、いずれも大幅に増加しました。一方で興味深いことに、7-COOH-CBDのAUC0-24は73.62%(p<0.001)、Cmaxは61.44%(p<0.001)と、摂食時にむしろ減少していました。TDEについても摂食時は85.27%(90% CI 75.55-96.25%、p=0.031)と、空腹時よりわずかに低下しています。

Epidyolexでも同様に、CBD曝露は摂食時にAUC0-24で350.06%(p<0.001)、AUCinfで312.24%(p<0.001)、Cmaxで224.80%(p<0.001)と大幅に増加しました。ただしEpidyolexの場合、7-COOH-CBDについては摂食時と空腹時で有意差は見られませんでした(AUC0-24が102.10%、p=0.781、Cmaxが105.01%、p=0.540)。

安全性:両製剤とも良好な忍容性

安全性については、32名中14名(44%)が合計32件の治療関連有害事象(TEAE)を報告しました。内訳は、CBtru摂食時が6名(20.0%)で10件、Epidyolex摂食時が6名(18.8%)で6件、CBtru空腹時が8名(26.7%)で11件、Epidyolex空腹時が5名(16.7%)で5件でした。

報告された有害事象のほとんどは軽度で、中等度と判定されたのは傾眠の1件のみでした。この傾眠はCBtru摂食時の投与後わずか0.25時間で発現し、その時点での血漿CBD濃度はわずか1.02ng/mLと、最高濃度(投与後2時間で5.39ng/mL)にはまだ達していなかったことから、研究者はCBDの全身曝露との関連は低いと判断しています。最も頻度の高かった有害事象は頭痛で、6名(18.8%)に認められました。重篤な有害事象や死亡例、投与中止に至った例はありませんでした。

考察:粉末製剤が示す吸収の予測可能性という利点

今回の結果から、CBtruはEpidyolexと同等かそれ以上のCBDバイオアベイラビリティを示しつつ、空腹時・摂食時いずれの条件でもより速やかな吸収を示すことがわかりました。特に注目すべきは、空腹時における個人間のばらつきの少なさです。CBDのCmaxの幾何変動係数はCBtruで73.5%、Epidyolexで117.1%と大きな差があり、これは服薬後の血中濃度予測のしやすさという臨床的な意味で重要です。

著者らは、CBtruが乳化技術によりナノサイズの脂質滴として調製されているため、胃内での分散が速く、胆汁酸やリン脂質との相互作用も効率的に進み、より均一で速やかな吸収につながっている可能性を指摘しています。一方、Epidyolexのようなバルクオイル製剤は、消化過程で大きな脂質滴を形成しやすく、個人の胆汁分泌量や消化酵素活性、胃の運動性といった生理的要因の影響を受けやすいと考えられます。

ただし、摂食時に7-COOH-CBDの曝露がCBtruで有意に低下したという結果は予想外であり、著者らも「これまでの研究で報告されていない現象」と述べています。可能性としては、食事によって血中CBD濃度が上昇することで代謝酵素(CYP450など)の働きが変化し、代謝経路がシフトした可能性や、24時間という採血期間の制約により、遅れて生じる7-COOH-CBDの濃度上昇を捉えきれなかった可能性が挙げられています。

研究の限界

本研究は健康な成人を対象としたものであり、実際にCBDを治療目的で使用する患者集団での検証ではありません。また、単回投与デザインであるため、反復投与時の蓄積性や定常状態での薬物動態については今後の研究が必要です。さらに、24時間までの採血期間では、一部の代謝物の終末消失相を完全に捉えきれなかった可能性も指摘されています。CBDの吸収には個人差が大きいことが知られており、より大規模な試験によって性差や体重の影響をより精密に評価することも今後の課題です。

まとめ

今回の第I相試験は、新しいCBD粉末製剤「CBtru」が、既存のオイルベース製剤Epidyolexと比較して、同等以上の生体利用率を持ちながら、より速やかで予測可能な吸収プロファイルを示す可能性を示唆するものです。特に空腹時における吸収の安定性は、実臨床において服薬タイミングの柔軟性を高める可能性があります。ただし、本研究はあくまで健康成人を対象とした薬物動態試験であり、実際の患者における有効性や長期的な安全性を証明するものではありません。今後、患者集団における反復投与試験などを通じて、CBtruの臨床的価値がさらに検証されることが期待されます。

また臨床上、最も重要なことはCBDを食後に摂取することでバイオアベイラビリティーがおよそ3倍に増加することです。CBDは食後に摂取するのが望ましいということが改めて示された形になります。

参考文献

Bendik I, Beck M, Manderna A, et al. Comparative Pharmacokinetics and Safety of Cannabidiol in a Powder Formulation, CBtru. CNS Drugs. 2026. DOI: 10.1007/s40263-026-01280-1
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41888503/

正高佑志

執筆者: 正高佑志 Yuji Masataka(医師)
経歴: 2012年医師免許取得。2017-2019年熊本大学脳神経内科学教室所属。2025年聖マリアンナ医科大学・臨床登録医。
研究分野:臨床カンナビノイド医学
活動: 2017年に一般社団法人Green Zone Japanを設立し代表理事に就任。独自の研究と啓発活動を継続している。令和6年度厚生労働特別研究班(カンナビノイド医薬品と製品の薬事監視)分担研究者。
書籍: お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社)、CBDの教科書(ビオマガジン)
所属学会: 日本内科学会、日本臨床カンナビノイド学会(副理事長)、日本てんかん学会(評議員)、日本アルコールアディクション医学会(評議員)
更新日:2026年7月20日

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