アメリカでは1/3が経験済み。CBD使用率、北米と欧州でどれだけ違う?最新メタ分析

2026.09.17 | 大麻・CBDの科学 海外動向 | by greenzonejapan
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アメリカでは1/3が経験済み。CBD使用率、北米と欧州でどれだけ違う?最新メタ分析
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インフォグラフィックス

CBD(カンナビジオール)市場は世界的に拡大を続けています。オイル、グミ、コスメ、飲料など、あらゆる形でCBD製品が流通する中、実際にどれくらいの人がCBDを使用しているのでしょうか。これまで、この問いに体系的に答えたデータはほとんど存在していませんでした。2026年に学術誌「Addiction」に掲載されたメタ分析は、北米と欧州における38万人以上のデータを統合し、この空白を埋めようとした研究です。結果として、北米での生涯使用率は28.9%に達し、欧州の12.8%を大きく上回ることが明らかになりました。

研究の背景:広がるCBD市場と、追いつかない実態調査

近年、CBDは医療目的だけでなく、リラクゼーションや美容といった娯楽的・生活習慣的な目的でも使用が広がっているとされています。しかし、こうした「CBD使用が増えている」という主張の多くは、個別の調査や市場データに基づくものであり、複数の研究を統合して信頼性の高い使用率を算出した試みはこれまでありませんでした。特に、規制環境や医療制度が異なる北米と欧州で、CBD使用の実態がどのように異なるのかを比較したデータは貴重です。本研究は、この空白を埋めるべく、両地域のCBD使用率を独立して推定することを目的としています(原論文)。

研究方法:43件の研究、38万人超のデータを統合

研究チームは2025年3月25日に、PubMed、PsycINFO、Web of Scienceという3つの主要データベースで文献検索を実施しました。最終的に43件の研究(48の独立したサンプル)が解析対象として選ばれ、合計サンプルサイズはn=388,447、そのうち女性は57.52%を占めました。

地域別に見ると、北米からはk=30件の研究、サンプルサイズn=353,088が含まれ、欧州からはk=13件の研究、サンプルサイズn=35,359が含まれました。CBD使用率は、生涯使用、過去12ヶ月、過去30日、過去7日、そして毎日使用という5つの時間区分について、北米と欧州でそれぞれ独立に推定されました。さらに、性別、データ収集年、サンプルの種類(臨床サンプルか一般community サンプルか)による使用率の違いも検討されました。加えて、出版バイアスの評価や、Joana Brigg’s Institute(JBI)のチェックリストを用いた研究の方法論的質の評価も行われています。

結果:北米のCBD使用率は欧州の2倍以上

まず予備的な異質性分析の段階で、北米と欧州の間にはすべての時間区分において使用率の差が確認されました(p値の範囲は0.001未満から0.057)。この結果を受けて、統合されたプールド推定値は両地域で別々に算出されています。

欧州における統合プレバレンスは、生涯使用率が12.8%(95%信頼区間0.06-0.25)、過去12ヶ月使用率が17.6%(同0.11-0.28)、過去1ヶ月使用率が7.2%(同0.02-0.21)、過去1週間使用率が4.3%(同0.01-0.13)、毎日使用率が2.1%(同0.01-0.08)でした。

一方、北米における統合プレバレンスは、生涯使用率が28.9%(95%信頼区間0.2-0.39)、過去12ヶ月使用率が19.5%(同0.11-0.32)、過去1ヶ月使用率が12%(同0.07-0.2)、過去1週間使用率が10.5%(同0.01-0.47)、毎日使用率が6.4%(同0.03-0.13)でした。生涯使用率だけを見ても、北米は欧州の2倍以上という結果です。

検討されたモデレーター(調整変数)のうち、統計的に有意な影響を示したのはサンプルの種類でした。興味深いことに、この影響の方向性は地域によって正反対でした。欧州では、臨床サンプル(医療機関を通じて集められた対象者)の過去1年使用率は25.6%であり、一般community サンプルの11.6%より高い結果となりました。逆に北米では、一般community サンプルの過去1年使用率が26.1%と、臨床サンプルの4.1%を大きく上回りました。

考察・意義:なぜ北米と欧州でこれほど差があるのか

この結果は、CBD使用が北米において欧州よりも明らかに広く普及していることを示しています。背景としては、北米、特にアメリカやカナダでは大麻の合法化が進んでおり、CBD製品へのアクセスが規制的にも文化的にも容易であることが一因として考えられます。一方、欧州は国によって規制状況が大きく異なり、CBD製品の流通や購入経路が国ごとに異なることが、使用率の低さや推定の不確実性(信頼区間の広さ)に影響している可能性があります。

サンプル種類による違いも注目に値します。欧州では医療的な文脈(臨床サンプル)でCBD使用がより多く報告される一方、北米では一般の人々(community サンプル)の間でCBD使用がより広がっているという対照的な構図が見えてきます。これは、欧州ではCBDがより医療的・治療的な位置づけで使用される傾向にあり、北米ではより生活習慣的・娯楽的な位置づけで浸透している可能性を示唆しています。ただし、この研究は横断的な観察データの統合であり、因果関係を示すものではないという点には注意が必要です。

また、信頼区間の幅が広い推定値(例えば北米の過去1週間使用率の95%信頼区間は0.01から0.47)が含まれていることは、研究間のばらつきが大きいことを反映しており、結果の解釈には一定の慎重さが求められます。研究デザインの多様性、調査対象者の属性の違い、CBD使用の定義の違いなどが、こうした不確実性の要因になっていると考えられます。

まとめ:CBD使用の実態を知ることの意義

本メタ分析は、43件の研究、38万人超のデータを統合することで、北米と欧州におけるCBD使用の実態を初めて体系的に示した重要な研究です。北米ではCBD使用が欧州よりも顕著に広がっており、その使用パターンも地域によって医療的か生活習慣的かという違いが見られることが分かりました。

CBDは合法性や安全性のイメージから広く受け入れられつつありますが、その普及の実態を正確に把握することは、公衆衛生政策や規制のあり方を考える上で欠かせない基礎データとなります。日本国内でもCBD製品の流通が拡大している中、こうした海外の使用実態データは、今後の議論の参考として注視していく価値があるでしょう。なお、本記事は研究結果の情報提供を目的としたものであり、CBDの使用を推奨または医学的に助言するものではありません。

参考文献

Weidberg S, Iza-Fernández C, Alemán-Moussa L, Krotter A, González-Roz A. The prevalence of cannabidiol (CBD) use in North America and Europe: A meta-analysis. Addiction (Abingdon, England). 2026. DOI: 10.1111/add.70360
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41724499/

正高佑志

執筆者: 正高佑志 Yuji Masataka(医師)
経歴: 2012年医師免許取得。2017-2019年熊本大学脳神経内科学教室所属。2025年聖マリアンナ医科大学・臨床登録医。
研究分野:臨床カンナビノイド医学
活動: 2017年に一般社団法人Green Zone Japanを設立し代表理事に就任。独自の研究と啓発活動を継続している。令和6年度厚生労働特別研究班(カンナビノイド医薬品と製品の薬事監視)分担研究者。
書籍: お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社)、CBDの教科書(ビオマガジン)
所属学会: 日本内科学会、日本臨床カンナビノイド学会(副理事長)、日本てんかん学会(評議員)、日本アルコールアディクション医学会(評議員)
更新日:2026年9月1日

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